血を流しながら画びょうを飲み込む
ニューヨーク郊外の豪邸に住む主婦ハンターはエリートの夫リッチーと裕福な生活を送っていた。しかし夫と義父母は教養のないハンターをないがしろにしていた。
「本当に幸せ、それとも幸せのふりをしているだけ」と義理の母は嫌味を言う。
妊娠がわかるとハンターは精神のバランスを崩し、ためらいながらもガラス玉を飲み込んでしまう。そして大便の中からガラス球を取り出しきれいに洗い、愛おしそうに見つめる。
口に入れた時の快感を忘れられなくて画びょう、小石、乾電池などを次々と飲み込んでゆく。ところが胎児検診のエコーでその異物を発見され、ハンターは異食症だと診断される。
心理カウンセラーの治療を受けるとハンターの生い立ちにその原因があることが分かる。母親はレイプされてハンターを生んだのだった。ハンターはなぜかレイプした男の写真を肌身離さず持っていた。
やがてハンターは強制的に施設に入れられそうになり、豪邸から脱走し、実家に帰ろうと母に電話をするが、やんわりと断られる。ハンターは家族のなかでいつも孤独だった。やがて罪を償い平穏な暮らしをしている実の父親に会いに行く。
口から血を流しながら画鋲を飲み込むという異様なシーンに驚くが、最後には未来に飛び立ってゆく爽やかな女性の姿で終わる。
「‥♪わたしはもう強くなった。あなたの元を去ってゆく・・♪」
ハンター役のヘイリー・ベネットの静かな狂気と無垢な表情が胸をうつ見事な作品だった。