自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

悪魔の発明 1958年

奇妙な映像表現に圧倒される

チェコスロバキアカレル・ゼマン監督 83分

八十日間世界一周」や「海底二万哩」のジュール・ヴェルヌの原作を映画化した。

実写とアニメと切り絵、美術セット、書割、銅版画を組み合わせて、独創的で童話的な世界をつくりあげた。

科学者のロック教授とその助手ハルトは平和利用のためにある新型兵器の実験を進めていた。ところがある日、大富豪のダルティガス伯爵の差し金で海賊たちに誘拐され、火山島に幽閉される。

ダルティガス伯爵はロック教授に新型兵器を完成させようとする。強力な破壊力をもつ新型爆弾を使って世界を征服しようと企んでいたのだ。

模型のような潜水艦、海の中を行く自転車型の乗り物、ペダル式の飛行船、泳ぎ回る海中の生き物たち・・実に不思議な光景に見とれるばかりだ。

やがて映像の中に自分が取り込まれたような気分になる。

もちろんセリフはあるが、どこかサイレント映画を思わせた。一体いつの時代の映画だろうかと、不思議な感覚に襲われる作品だった。

ストーリーはたわいないものだが、何よりも奇妙な映像表現に圧倒される映画だった。

マッチスティック・メン 2003年

騙される快感

アメリカ、リドリー・スコット監督 116分

天才的な詐欺師のロイは相棒のフランクと巧妙な手口で人を騙していた。しかし彼は強迫性障害潔癖症であり精神科医の治療をうけていて、薬が手放せなかった。

別れた妻に14歳の娘アンジェラがいたことをロイは初めて知る。アンジェラと対面したロイは彼女に翻弄されながらも父性愛に目覚めてゆく。

やがてアンジェラはロイが凄腕の詐欺師だと知り、「騙し」のテクニックを教えてほしいと言い出す。「パパは悪人じゃないけどいい人でもない」

仕方なく詐欺の極意を教えてゆく。

父と娘のハートウォーミングでコメディタッチのドラマと思っていると、あっという間に意外な方向に物語が進み、やがて大どんでん返しが待っている。「騙す相手に騙されるな」とロイは言っていたが・・彼が騙されたのだ。

 

ラストシーンに少しホッとするものがあり、そのための伏線がうまく生かされていた。

 

ユージュアル・サスペクツ」や「シャッターアイランド」のように観客がまんまと騙されるというジャンルの映画だった。ここには騙される快感というものがある。

大きな感動があるわけではないが、展開がスピーディで最後まで引き付けられる作品だった。

パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女、2022年

優しい顔をした凄腕の女性運び屋

韓国、パク・デミン監督、109分

脱北者で28歳のウナは、ワケあり荷物を運ぶ特殊配送会社の凄腕の女性運び屋だった。若いながら彼女は天才的なドライビング・テクニックをもっていた。

ある日、賭博ブローカーとその幼い息子ソウォンを港まで運ぶという依頼を受ける。ところが賭博ブローカーの男は悪徳警官やヤクザたちに殺され、ウナは息子ソウォンと300億ウォンが入った貸金庫の鍵を抱えたまま追われることになる。

 

二人は凄まじいカーチェイスで逃げ回るが、悪徳警官たちは何処までも追ってくる。

やがて脱北者の過去を持つウナを調査している国家情報院の女性捜査官を巻き込んでのバトルが繰り広げられる。

 

壮絶なカーアクションや流血のバイオレンスだけではなく、名作映画「グロリア」を彷彿とさせるようなウナとソウォンの触れ合いも見どころだ。飼い猫と戯れる少女のような表情のウナもよかった。

韓国映画としてはアクが少なく、気楽に楽しめる娯楽アクション映画。