自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

彼女が消えた浜辺 2009年

映画で貴重な異文化体験 イラン アスガー・ファルハディ監督 オープニング、狭い郵便ポスト口に次々と郵便物が入れられる。光のささない部屋からそれを見ている私たち・・閉じ込められているのか。 セビデーは友人3家族との三泊のバカンスに保育園の先生エ…

マイ・ブルーベリー・ナイツ 2007年

淡い夢をみているようだ 香港、フランス、ウォン・カーウァイ監督 ニューヨーク、高架電車の灯りがきらめいている。失恋したエリザベスはカフェ・クルーチのオーナー、ジェレミーと親しくなる。カフェでは捨てられない男と女の想いの詰まった鍵を預かってい…

山本周五郎の短編

江戸の町にタイムスリップ 自由がないというわけでもないが、どこか監視社会を思わせる息苦しい世の中になった。「正義の言葉」に気が滅入り、山本周五郎の短編を読み返した。 胸を切り裂かれるような哀しみや生きる力を与えてくれる人間賛歌に「真実の言葉…

狩人の夜 1955年

指に彫られた「Love」&「Hate」 アメリカ チャールズ・ロートン監督 1930年代、大恐慌の時代、ウェスト・ヴァージニア州の田舎町、ベンは銀行強盗で強奪した1万ドルを娘パールの人形の中に隠し、息子のジョンに在りかを絶対に誰にも話すなと告げた後、…

ゴッドファーザー PARTⅡ 1974年

ある視点から見たアメリカ現代史 アメリカ フランシス・フォード・コッポラ監督 1901年、イタリア、シチリア島から物語は始まる。ゴッドファーザーと呼ばれた父ビトー・コルレオーネの少年時代から、1958年、その息子で父の跡目を継いだマイケル・コ…

野いちご 1957年

「人との接触を断つ日々」にこの映画はどうだろう スウェーデン イングマール・ベルイマン監督 78歳の医師イーサク・ボルイの独白と悪夢で映画は始まる。「人との交流を意図的にさけてきた。だから年老いた今は孤独だ」 死が近づいてきたとき、人は過去を…

イン・ザ・ベッドルーム 2001年

予想を上回る出来栄え アメリカ トッド・フィールド監督 メイン州、漁業の町カムデン、夫マットは医師、妻ルースは教会の合唱団の指導をしている。18歳の一人息子フランクは建築を学んでいる大学生で夏の間、故郷に帰っていた。彼は年上の女性ナタリーを愛…

私の殺した男 1932年

ルビッチの感動ドラマ アメリカ、エルンスト・ルビッチ監督 2016年フランソワ・オゾン監督「婚約者の友人」としてリメイクされた。 第一次大戦後の1919年、パリ、フランス青年ポールは教会で神父に赦しを乞う。ポールは戦争中の西部戦線でドイツ兵を殺し、そ…

特別な一日 1977年

ソフィア・ローレンとマストロヤンニの二人芝居 イタリア、エットレ・スコーラ監督 1938年、ヒトラー総統がイタリアを訪問した。当時のニュース映像が延々と映し出される。翌日、ムッソリーニのファシスト党はローマで歓迎式典を開く。その様子がラジオ…

未知との遭遇(新型コロナウイルス)

いつの間にか季節が移っていた 太古の昔から人類は未知のウイルスに何度も遭遇してきた。「絶滅するのは人類か、ウイルスか」・・多くの人命は失われたが、生き残ったのは人類だった。 友人たちから近況を知らせるメールやウイルス関連の動画が送られてきた…