自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ショーガール 1995年

ショービジネスの裏側 アメリカ ポール・バーホーベン監督 「ロボコップ」「トータルリコール」「氷の微笑」のバーホーベン監督がラスヴェガスを舞台に、のしあがってゆく一人の若いストリップ・ショーガールを描いた作品。 ダンサーのノエミはヒッチハイク…

ガッサーン・カナファーニ「ラムレの証言」

イスラエルとパレスチナ アブー・オスマーンはその生涯ずっと、穏やかでみなから愛された男だった。自分が死んだらラムレの美しい墓地に埋葬してほしいという事だけが望みだった。 彼は末娘のファーティメを傍らに抱き寄せて立っていた。幼い少女はつぶらな…

祇園囃子 1953年

千年の古都に生きる女たち 日本 溝口健二監督 田舎には美しい自然がある。町にはなにがあるのだろうか。町の魅力は路地だと思う。路地には人々の歓びや哀しみがあふれている。狭い路地をさまよっていると人の息吹を感じ、どこか懐かしい気分になる。 その路…

コールド・キラー 2017年

闘う女性の映画には爽快感がある ドイツ、オーストリア、ステファン・ルツォヴィツキー監督 ルツォヴィッキー監督には「ヒトラーの贋札」という見事な作品がある。だから期待感をもって鑑賞した。 オーストリアからの移民女性エズゲはウィーンで夜はタクシー…

映画の中のエリザベス1世と2世

「ブーリン家の姉妹」ジャスティン・チャドウィック監督 イングランド国王ヘンリー8世(1491~1547)の結婚、世継ぎ問題を背景に、アン・ブーリンとその妹メアリーが辿る愛憎渦巻く数奇な運命を描く歴史劇。 ヘンリー8世と結婚したアン・ブーリン…

傷痍軍人

戦争が見える 浅田次郎の短篇小説「金鵄のもとに」を読んでいると物乞いをする傷痍軍人が登場してきた。すっかり忘れていた一つの記憶が蘇ってきて、私はある光景を思い出した。 それは随分前のことだが、場所は大阪、阪急電車の十三駅のガード下で傷痍軍人…

千年の祈り 2007年

平凡な人生なんてものはどこにもない アメリカ、日本、ウェイン・ワン監督 ウェイン・ワン監督には「ジョイ・ラック・クラブ」「スモーク」などの名作がある。 「千年の祈り」は名作というわけではないがどこか忘れられない映画だった。 原作は女性作家イー…

パリの家族たち 2018年

いろいろな母親がいる、母親にならない人もいる フランス マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督 パリで働く女性たちとその家族を通して母親とは何かを問いかける作品。 1908年、アンナ・ジャービスは母の命日を「母の日」とした。画家ホイス…

ぼくの大切なともだち 2006年

愛は金で買えるが、友情は買えない フランス パトリス・ルコント監督 美術商のフランソワは自分の誕生日のディナーで「知り合いの葬式に行ってきたが親類を含めて参列者が7人しかいなかった」と話すと、ディナーに集まった人たち全員に「お前の葬式には誰も…

帰れない二人 2018年

女は愛に生き、男はプライドに生きる 中国 フランス ジャ・ジャンクー監督 山西省大同、中国が大きく変貌する21世紀、2001年から2006年、そして2018年へ、17年間にわたる男と女の物語。 裏社会で生きる渡世人の男ビンは仲間内の兄貴分だった…