自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

沢木耕太郎「流星ひとつ」

藤圭子へのインタヴュー 1979年秋、沢木耕太郎(31歳)は引退直前の藤圭子(28歳)にホテルニューオータニのバーでウォッカの杯を重ねながらインタヴューをした。 インタヴューは無事に終わったが、当時、沢木はノンフィクションの「方法」について…

天然コケッコー 2007年

カラフルな水彩画 日本 山下敦弘監督 山と海に囲まれた自然豊かな村、中学二年生の石田そよは小学生と中学生をあわせても6人だけという学校に通っていた。 そこに東京から転校生がやってくる。都会の雰囲気をもった大沢広海という中学二年生の男子だったが…

異端の鳥 2019年

暴力と寓話 チェコ、スロバキア、ウクライナ、バールラフ・マルホウル監督 169分 森の中、小動物が油をかけられ、火をつけられる。狂ったように叫びながら走り回るが、やがて燃え尽きてしまう。不吉な幕開けだった。 1940年代の東欧、少年はホロコー…

クロスマネー 2018年

「ビンラディン」70枚 スペイン コルド・セラ監督 福祉事務所に6歳の娘を取り上げられたシングルマザーのラケル、彼女は銀行の支店長に会い、賄賂を渡せば娘は返してもらえると説明して、35000ユーロの融資を申し込む。偽の登記書をみせて信用させ入…

女は二度決断する 2017年

ジハード(聖戦) ドイツ ファティ・アキン監督 ドイツのハンブルク、カティヤはクルド系トルコ移民のユーリと6歳の息子ロッコと幸せに暮らしていた。ある日、爆発事件でユーリとロッコが死んでしまう。 ユーリは麻薬事件で服役していたこともあり、外国人…

年齢とともに変わりゆくもの

失われてゆく認知機能 認知症の高齢女性が近くの内科医院を何度も訪れる。先日もコロナワクチンを何度も接種しようとして、夫が医院に迎えに行った。夫はいつも大声で叱るが、妻はすぐに忘れてしまう。 最近、友人に電話をかけると奥さんが認知症になったと…

報復の街をあとに ペドロ12歳の旅立ち

遠い国から届いた一本の映画 2017年 ベネズエラ、チリ、ノルウェー 82分 グスタブ・ロンドン・コルドバ監督 南米のベネズエラは世界で一番治安の悪い国だと言われている。ゴンザレスと12歳の息子ペドロは首都カラカスで貧しい暮らしをしていた。 ペ…

夕凪の街 桜の国 2007年

50年にわたる被爆者家族の物語 日本 佐々部清監督 原爆投下から13年が経った昭和33年(1958年)の夏、広島、26歳の平野皆美は母と雨漏りがするあばら家に住んでいた。そこは被爆者たちが住んでいる地域で、銭湯では身体にケロイドのある女性が多…

運命を分けたザイル 2003年

垂直の氷壁を登る イギリス ケビン・マクドナルド監督 1985年、イギリスの登山家、25歳のジョー・シンプソンと21歳のサイモン・イェーツはペルーのアンデス山脈のシウラ・グランデに挑んだ。 前人未到の西側は垂直に立ち上がり、頂上は雲に隠れて姿…

ミレニアム ドラゴンタトゥーの女 完全版

リスベットとハリエット 2009年、ドイツ スウェーデン デンマーク ニールス・アルデン・オブレヴ監督、186分 スウェーデンの大実業家、ヘンリック・ヴァンゲルは40年前に行方不明になった姪ハリエットの調査をジャーナリストのミカエルに依頼する。…