自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

桜庭一樹「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」

ライトノベルの衝撃 鳥取県境港市の中学校、13歳の山田なぎさのクラスに美少女の転校生がやってきた。海野藻屑(もくず)で自分のことを「ぼく」と言い、海からやってきた人魚だという。 父親はかつての有名な歌手、海野雅愛だった。デビュー曲「人魚の骨…

私のちいさなお葬式 2017年

原題は「解凍された鯉」 ロシア ウラジミール・コット監督 ロシアの小さな村、元教師で73歳のエレーナは医者から心不全でいつ亡くなってもおかしくないと言われる。息子のオレクは都会暮らしで5年に一度しか帰ってこない。 エレーナは自分の葬式の準備を…

恐竜が教えてくれたこと 2019年

夏休みに子供は成長する オランダ、ステフェン・ワウテルロウト監督 夏の休暇で両親と兄とオランダ北部の島にやってきた11歳の少年サムは「地球最後の恐竜は自分が最後だと知っていたのかな」と考え込んでいた。サムは両親も兄も先に死んで、末っ子の自分…

オレのたったひとつの自慢

忘れられないひと言がある ずいぶん前のことだけれど、遠く離れて暮らす友人と久しぶりに会い、曽根崎のオールドバーで懐かしい話とウィスキーで愉快な時間を過ごした。 再会を約束して梅田駅のホームで彼と別れた。しばらくするとその友人が追いかけてきて…

サンダーロード 2018年

まったく先の読めない怪作 アメリカ ジム・カミングス監督 テキサス州の小さな町の警察官ジム・アルノーは母の葬儀で母の好きだったブルース・スプリングスティーンの「涙のサンダーロード」の曲に合わせて踊ろうとする。 しかしラジカセが故障で音楽が流れ…

シリアにて 2017年

神はあなたを赦すのか ベルギー、フランス、レバノン フィリップ・バン・レウ監督 シリア内戦下の首都ダマスカス、主婦のオームは義父、娘二人と息子、メイドのデルハニ、同じアパートの女性ハリマとその夫と赤ん坊、そして姉娘のボーイフレンドとアパートに…

15年後のラブソング 2018年

ちょっと情けないダメ男のロックミュージシャン アメリカ、イギリス ジェシー・ペレッツ監督 イギリスの港町、サンドクリフ、父から受け継いだ郷土史博物館に勤める30代後半の女性アニー、彼女は長年、恋人のダンカンと暮らしていたが、倦怠期を迎えていた…

罪の声 2020年

グリコ・森永事件をモデルにしたミステリー 日本、土井裕奏監督 2018年、京都でテイラーを営む曽根俊也は父の遺品のなかにカセットテープと手帳を見つける。気になってテープを聴くと、それは1984年に起こった昭和最大の未解決事件(ギン萬事件)で…

パピチャ 未来へのランウェイ 2019年

自由なファッションを求める女たち フランス、アルジェリア、ベルギー、カタール、ムニア・メドゥール監督 90年代の首都アルジェ、女子大学生のネジュマはファッション・デザイナーを夢見ていた。ナイトクラブで自作の服を売っていたが、街ではイスラム原…

ミッドナイト・イン・パリ 2011年

雨のパリがいちばんステキだ アメリカ、スペイン、ウディ・アレン監督 売れっ子の脚本家ギルは婚約者のイネズ、そして彼女の両親とパリにやってきた。ギルはパリに魅せられて、この街で小説を執筆しようとしていたが、イネズは無関心で心は離れ離れになって…