自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

クライ・マッチョ 2021年

野生馬が駆けるシーンの爽快さ アメリカ、クリント・イーストウッド監督 テキサス、1979年、かつてのロデオスター、マイクは落馬事故以来、酒浸りになり落ちぶれていた。 ある日、元の雇い主からメキシコにいる13歳の息子ラファを母親から奪い返してく…

コーカサスの虜 1996年

人生は短く、世界は狭い カザフスタン、セルゲイ・ポドロフ監督 原作はトルストイの短編「コーカサスの虜」 チェチェン紛争下、コーカサスの山岳地帯、ロシア兵のワーニャと准尉のサーシャはチェチェン側の待ち伏せにあい捕虜になる。村の長老アブドゥルはロ…

仁義 1970年

仏教的死生観 フランス、ジャン=ピエール・メルヴィル監督 映画はこんな言葉で始まる。 「賢者ジッダールタまたの名を仏陀は、ひとくれの赤い粘土を 手に取り、それで輪を描いて言われた。 人はそれと知らずに必ずめぐりあう。たとえ互いの身に 何かが起こ…

ドクター 1991年

医者もいつか患者になる アメリカ、ランダ・ヘインズ監督 ジャック・マッキーは優秀な心臓外科医だった。ジャックには妻と息子がおり、大きな家に住み、順風満帆の日々を送っていた。 ところが喉の調子が悪く、MRIや生体検査をすると喉頭がんだと分かる。治…

1/f(エフ分のいち)のゆらぎ

先日、ラジオのDJが「1/fのゆらぎ」の話をしていた。単調な生活の中に少しの変化を加えると快適になる。規則正しい生活のなかに「1/fのゆらぎ」を取り入れるとリラックスするという。 自然界には多くの「1/fのゆらぎ」があふれているともいう。風、波…

1408号室 2007年

原作はスティーブン・キングの短編 アメリカ、ミカエル・ハフストローム監督 「幽霊ホテル10」「幽霊墓場10」などの著書のあるオカルト作家マイクは各地の心霊スポットを取材していた。 ある日、ニューヨークのドルフィンホテルから「1408号室には入…

星になるまで 2021年

可憐なファンタジー 台湾、ツォン・チェン監督 知的障碍者のシャオチンの娘5歳のシンシンは健常者だった。継父にレイプされ娘を産んだチャオチンは市場で働きながら、友人の助けもあって二人はままごとのような暮らしを続けていた。 市場で野菜屑をもらい食…

ペレ 1987年

少年はアメリカを夢見る デンマーク、スウェーデン、ビレ・アウグスト監督 19世紀末、飢餓のスウェーデンからデンマークに移住してきた年老いた父ラッセと少年ペレ。ラッセは「安売りはしない」と言いながらも働くところがなく、労働条件の悪い「石の農園…

横道世之介 2012年

あの日にかえりたい 日本、沖田修一監督、160分 1987年、長崎から上京して、法政大学に入学した18歳の横道世之介。 最初に友達になった倉持、女子学生の阿久津唯、パーティガールで年上の千春、ゲイの同級生加藤、お嬢様育ちのガールフレンド祥子・…

江國香織の短編「デューク」

デュークが伝えたかったこと 映画「僕のワンダフル・ライフ」はレトリバーの子犬が、飼い主のイーサンに会いたくて生まれ変わりを何度も繰り返すという物語。 私と「デューク」との奇跡 クリスマス、21歳の女が泣きながら歩いている。歩きながら女は涙がと…