自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

若葉のころ 2015年

あの頃の思い出はいつも心の中にある 台湾、ジヨウ・グータイ監督 ワン・レイが17歳だった1982年と17歳の娘バイの2013年の初恋をクロスさせたどこか懐かしい物語。台湾映画はいつも少し前の日本を思い出させる。 ピアノ演奏会にきていたワンは初…

ウェンディ&ルーシー 2008年

上質な短篇小説のような アメリカ ケリー・ライカート監督 深夜、野宿しながら全国を転々とする放浪者たちが焚火を囲んでいる・・アメリカの暗部を映し出すシーンから映画は始まる。 オレゴン州の田舎町、若い女性ウェンディは愛犬ルーシーとともに仕事を求…

サイダーハウス・ルール 1999年

外の世界を知り、成長してゆく若者の物語 アメリカ、ラッセ・ハルストレム監督 原作、脚色はジョン・アーヴィング 1943年、メイン州、ニューイングランド、孤児院セントクラウズでは捨て子や望まない妊娠をした女性の子どもを育てていた。 ここで生まれ…

「動画配信サービス」のその後

近所のレンタル店が2月に閉店してからは、何度か利用したことのあるゲオの宅配レンタル(スポットレンタル)でDVDを借りている。 旧作が55円になるセール時に借りると、無料クーポンが1枚つくことが多いので、7本借りても郵送料(319円)込みで6…

赤い天使 1966年

バケツには切り取られた手足があふれている 日本、増村保造監督 昭和14年、24歳の従軍看護婦、西さくらは中国戦線の病院に赴任した。戦地の男たちは本能的な性に飢えていた。赴任してすぐに西は兵士にレイプされてしまう。 野戦病院を転々としてゆく西看…

大砂塵 1954年

最初から女同士の戦いだった アメリカ、ニコラス・レイ監督 西部に鉄道が敷かれ、開拓時代が終わろうとしていた1890年代のアリゾナ州、ギター弾きのジョニーは砂塵の吹き荒れる町はずれの酒場にやってきた。酒場の女主人ヴィエンナとはかつて恋人同士だ…

わたしたち 2016年

友達になれる、何度でも 韓国、ユン・ガウン監督 小学4年生、11歳の少女ソンは学校で仲間外れにされイジメにあっていた。夏休み前に転校生のジアと友達になる。ソンはそれがたまらなく嬉しい。 ジアの家庭は裕福だったが、両親が離婚して母親はイギリスに…

チョコレート 2001年

三つの墓 アメリカ、マーク・フォースター監督 ハンクと息子のソニーは刑務所の看守をしている。ハンクの父親も元看守で今は身体が不自由で家に閉じこもっていた。ハンクと父親は黒人を蔑視していたが、ソニーは父や祖父とは違い優しい性格だった。 黒人のロ…

フェルディナント・フォン・シーラッハ「犯罪」

ドイツで屈指の刑事事件弁護士といわれる著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちを鮮やかに描いた11編の傑作短編集。 著者は映画「コリーニ事件」の原作者でもある。祖父はナチ党全国青少年最高指導者パルドゥール・フォン・シーラッハ。 …

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ

削除することから名作は生まれる 2016年、イギリス、アメリカ、マイケル・グランデージ監督 1929年、大不況のニューヨーク、ヘミングウェイやフィッツジェラルドの小説を出版してきた名編集者のパーキンズの元に無名の作家トマス・ウルフが膨大な原…