自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

洲崎パラダイス赤信号 1956年

かけ、もり、が25円の時代 日本、川島雄三監督 昭和30年頃、勝鬨橋、甲斐性なしの義治と着物姿の蔦枝は持ち金もなくなり、どこに行こうかと迷っていた。 「これからどうするの」「どうしようか、どこに行こうか」二人はバスに乗って、洲崎で降りた。そこ…

ウィスキーが、お好きでしょ

ラジオのFM放送からこんなセリフが聴こえてきた。 「気分が落ち込んでいた時、誰か知らない人のリクエスト曲に元気づけられた」確かにそんな曲がある。 その後、「ウィスキーが、お好きでしょ」が流れてきた。この曲に元気づけられたというわけではないが、…

パーフェクト・ケア 2020年

「奇妙な可笑しさ」の社会派サスペンス アメリカ、J・ブレイクソン監督 法定後見人のマーラは認知症などで判断能力が低下した富裕層の高齢者たちの資産を管理し、彼らをケアしていた。 実は医師や介護施設と結託して高齢者たちから資産を搾り取っていた。合…

リトル・ダンサー 2000年

少年が旅立つとき イギリス、スティーブン・ダルドリー監督 1984年、イングランド北東部のダラム炭鉱、炭鉱労働者のストライキで揺れる町。祖母と炭鉱労働者の父と兄と暮らす11歳の少年ビリーはふとしたことからバレエに興味を持ち、少女たちに混ざっ…

DEARフランキー 2004年

真珠の輝き イギリス、ショーナ・オーバック監督 「小品」と言われる映画が好きだ。ダイヤモンドほどの輝きはないが、真珠のような品のいい輝きがある。「DEARフランキー」もそんな小品の一つだ。 イギリスの港町、リジーは暴力的な夫から逃れるため、9歳の…

アイダよ、何処へ? 2020年

スレブレニツァの虐殺 ボスニア・ヘルツェゴビナ、オーストリア、ルーマニア、オランダ、ドイツ、ポーランド フランス、ノルウェー ヤスミラ・ジュパニッチ監督 妻であり母であるアイダの目を通してスルプスカ共和国軍によるジェノサイドの全貌を描いた作品…

アヴリルの恋 2006年

新しい生命の息吹 フランス、ジェラール・ユスターシュ=マチュー監督 1980年代後半、人里離れた修道院で暮らす20歳の修練女アヴリルは、修道女になるために2週間の断食と沈黙の誓いに入り、礼拝堂に閉じこもる。 その時、捨て子だったアヴリルはベル…

クローブヒッチ・キラー 2018年

もし自分の父親が連続殺人犯だったら アメリカ、ダンカン・スキルズ監督 ケンタッキー州の信仰深い小さな町、10年前に「クローブヒッチ・キラー」(巻き結びの殺人鬼)と言われた連続殺人犯が町を震撼させていた。 16歳の少年タイラーはふとしたことから…

チャイルド・マリッジ 2014年

法廷劇というより社会派の作品 エチオピア、ゼレセネイ・メハリ監督 1996年、エチオピアの貧しい村、14歳の少女ヒルトが下校途中に男たちにさらわれる。田舎では「略奪婚」(誘拐婚)という伝統の風習があった。男が無理やりに女をさらって妻にしてし…

「一人で生きる」が当たり前になる社会

荒川和久、中野信子対談集 第1章 「ソロ社会」化する日本 孤独死しているのは、ほぼ元既婚者。結婚していても孤独死するという現実。一人でいたい人が4割、他者といたい人は6割。2040年には独身者が47パーセントになる。 第2章 孤独とは悪いことな…