自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

悪い種子 1956年

50年代のB級恐怖映画のおもしろさ アメリカ、マービン・ルロイ監督 ケネス・ベンマーク大佐と妻クリスティーンには8歳の娘ローダがいた。ローダは金髪の可愛らしくて利口な少女だった。学校のピクニックがあった日、クロード少年が桟橋から落ちて死んだ。…

洲崎パラダイス赤信号 1956年

かけ、もり、が25円の時代 日本、川島雄三監督 昭和30年頃、勝鬨橋、甲斐性なしの義治と着物姿の蔦枝は持ち金もなくなり、どこに行こうかと迷っていた。 「これからどうするの」「どうしようか、どこに行こうか」二人はバスに乗って、洲崎で降りた。そこ…

ウィスキーが、お好きでしょ

ラジオのFM放送からこんなセリフが聴こえてきた。 「気分が落ち込んでいた時、誰か知らない人のリクエスト曲に元気づけられた」確かにそんな曲がある。 その後、「ウィスキーが、お好きでしょ」が流れてきた。この曲に元気づけられたというわけではないが、…

パーフェクト・ケア 2020年

「奇妙な可笑しさ」の社会派サスペンス アメリカ、J・ブレイクソン監督 法定後見人のマーラは認知症などで判断能力が低下した富裕層の高齢者たちの資産を管理し、彼らをケアしていた。 実は医師や介護施設と結託して高齢者たちから資産を搾り取っていた。合…

リトル・ダンサー 2000年

少年が旅立つとき イギリス、スティーブン・ダルドリー監督 1984年、イングランド北東部のダラム炭鉱、炭鉱労働者のストライキで揺れる町。祖母と炭鉱労働者の父と兄と暮らす11歳の少年ビリーはふとしたことからバレエに興味を持ち、少女たちに混ざっ…

DEARフランキー 2004年

真珠の輝き イギリス、ショーナ・オーバック監督 「小品」と言われる映画が好きだ。ダイヤモンドほどの輝きはないが、真珠のような品のいい輝きがある。「DEARフランキー」もそんな小品の一つだ。 イギリスの港町、リジーは暴力的な夫から逃れるため、9歳の…

アイダよ、何処へ? 2020年

スレブレニツァの虐殺 ボスニア・ヘルツェゴビナ、オーストリア、ルーマニア、オランダ、ドイツ、ポーランド フランス、ノルウェー ヤスミラ・ジュパニッチ監督 妻であり母であるアイダの目を通してスルプスカ共和国軍によるジェノサイドの全貌を描いた作品…

アヴリルの恋 2006年

新しい生命の息吹 フランス、ジェラール・ユスターシュ=マチュー監督 1980年代後半、人里離れた修道院で暮らす20歳の修練女アヴリルは、修道女になるために2週間の断食と沈黙の誓いに入り、礼拝堂に閉じこもる。 その時、捨て子だったアヴリルはベル…

クローブヒッチ・キラー 2018年

もし自分の父親が連続殺人犯だったら アメリカ、ダンカン・スキルズ監督 ケンタッキー州の信仰深い小さな町、10年前に「クローブヒッチ・キラー」(巻き結びの殺人鬼)と言われた連続殺人犯が町を震撼させていた。 16歳の少年タイラーはふとしたことから…

チャイルド・マリッジ 2014年

法廷劇というより社会派の作品 エチオピア、ゼレセネイ・メハリ監督 1996年、エチオピアの貧しい村、14歳の少女ヒルトが下校途中に男たちにさらわれる。田舎では「略奪婚」(誘拐婚)という伝統の風習があった。男が無理やりに女をさらって妻にしてし…

「一人で生きる」が当たり前になる社会

荒川和久、中野信子対談集 第1章 「ソロ社会」化する日本 孤独死しているのは、ほぼ元既婚者。結婚していても孤独死するという現実。一人でいたい人が4割、他者といたい人は6割。2040年には独身者が47パーセントになる。 第2章 孤独とは悪いことな…

ラジオ・コバニ 2016年

激動の3年間を描いた69分のドキュメンタリー オランダ、ラベー・ドスキ監督 トルコ国境に近いシリア北部、クルド人街コバニは2014年9月、IS(イスラム国)のテロリストたちに占拠された。若い男たちは斬首され娘たちは売り飛ばされた。4カ月後、ク…

雨とあなたの物語 2021年

待つことにまつわる物語 韓国、チョ・ジンモ監督 2003年のソウル、将来への希望もなく、2浪で予備校に通うヨンホは、小学校の運動会でハンカチをくれたソヨンに手紙を書く。 ところがソヨンは意識もはっきりしない寝たきりの病人になっていた。妹のソヒ…

絞殺魔 1968年

実録「ボストン絞殺魔」 アメリカ、リチャード・フライシャー監督 1962年のボストン、女性ばかりを狙った猟奇続殺人事件が起こる。最初は老女だけだったが、そのうち若い女性も被害者になる。なぜか女たちは犯人を家の中に招き入れていた。 そしてロープ…

ミュージックボックス、1989年

戦争犯罪と法廷劇 アメリカ、コスタ=ガヴラス監督 第二次大戦後、アメリカにやってきたハンガリー移民のマイク・ラズロは37年間、地道に暮らしてきた。 ところがハンガリー政府は40年前のユダヤ人虐殺の犯人としてアメリカにマイクの引き渡しを求めてき…

女性の見た戦後

後片付け ポーランドの女性詩人、ヴィスワヴァ・シンボルスカ 「終わりと始まり」 戦争が終わるたびに 誰かが後片付けをしなければならない 物事がひとりでに 片づいてくれるわけではないのだから 誰かが瓦礫を道端に 押しやらなければならない 死体をいっぱ…

ソウルメイト/七月と安生、2016年

終生の友 中国、香港、デレク・ツァン監督 舞台は上海、大人気のネット小説「七月と安生」の映画化の話が安生の元に持ち込まれる。小説は七月(チーユエ)と安生(アンシェン)の13歳から26歳までの物語で作者は七月だったが彼女は行方不明だった。 安生…

ある歌い女の思い出 1994年

初めてのチュニジア映画 チュニジア、フランス、ムフィーダ・トゥラートリ監督 チュニジア、歌手のマリヤは自分を実の娘のようにかわいがってくれた皇太子のシド・アリが亡くなったことを知り、10年ぶりに王宮を訪ねる。 そこにはもう1950年代の栄華は…

駆逐艦ベッドフォード作戦 1965年

予期せぬ出来事 アメリカ、ジェームズ・B・ハリス監督 東西冷戦下、アメリカ海軍の駆逐艦ベッドフォードはグリーンランドとアイスランドの中間点の海域を巡視していた。氷山の下に潜航していたソ連の潜水艦をレーダーはキャッチした。 艦長は司令部の「待機…

モロッコ、彼女たちの朝 2019年

初めてのモロッコ映画 モロッコ、フランス、ベルギー、マリヤム・トゥザニ監督 カサブランカ、未婚の妊婦サミアは大きなお腹を抱えながら、仕事も泊まるところもなく、旧市街の路地で仕事を探していた。 幼い娘と二人で暮らすアブラは小さなパン屋を営んでい…

ガーファとビッグデータとAI

GAFA(ガーファ)とはGoogle、Apple、Facebook。Amazon、それぞれの頭文字をとった言葉。現代はGAFA(ガーファ)が支配する世界だと言われている。 この4大企業は莫大な富を生み、膨大な情報(ビッグデータ)を保持している。この富と情報を利用すればどの…

子熊物語 1988年

大自然のなかで生きる熊とハンター フランス、ジャン=ジャック・アノー監督 1885年のカナダ、ロッキー山脈、母熊と子熊が大好物の蜜蜂の巣を夢中になって食べていると突然、がけ崩れが起こり、母熊は死んでしまう。 子熊は厳しい自然の中で生きていかな…

サルサ! 1999年

キューバ音楽とサルサ フランス、スペイン、ジョイス・シャルマン・ブニュエル監督 クラシックのピアニストで将来を嘱望されたフランス人の青年レミは、キューバ音楽に魅せられて、キューバ人作曲家の閉鎖寸前の店を借りて、サルサのダンス教室を開く。 彼は…

花嫁の父 1950年

お気に入りの俳優 アメリカ、ビンセント・ミネリ監督 まだまだ子供だと思っていた娘が結婚することになり、大慌ての父親の姿をユーモラスに描いた作品。 今の時代からみればあり得ないほど浮世離れした物語で、父親のモノローグで始まるオープニングシーンか…

世界一キライなあなたに 2016年

愛でも癒せないものがある アメリカ、テア・シャーロック監督 原作はジョジョ・モイーズの小説「ミー・ビフォア・ユー」 イギリスの田舎町、26歳のルーは明るい性格だが、毎日をただ何となく過ごしていた。勤めていたカフェが閉店になり、特別な技能も経験…

藻谷浩介「しなやかな日本列島のつくりかた」

「現智の人たち」7人との対話集 第一章「商店街」は起業家精神を取り戻せるか 起業家精神もなく不動産を固守する店主。町を私物化する集団が町を内部から腐らせてゆく。20世紀に発明された商店街を残す意義。 第二章「限界集落」と効率化の罠 なぜ限界集落…

すべてが変わった日 2020年

迫りくる恐怖 アメリカ、トーマス・ベズーチャ監督 1960年代のモンタナ州、元保安官のジェームズと妻マーガレットは落馬事故で息子ジェームズを亡くす。3年後、未亡人になった義理の娘ローナは息子のジミーを連れて再婚するが、夫となったドニー・ウィ…

風船 1956年

人生は風船のように 日本、川島雄三監督 戦後11年、東京、カメラメイカーの社長として成功した村上春樹は妻房子、息子圭吉、娘珠子と高台の豪邸で暮らしていた。 珠子は子どもの頃に小児麻痺にかかり、左手が不自由で身も心も弱かったが、純真な娘だった。…

キッチン・ストーリー 2002年

北欧の奇妙なユーモア スウェーデン、ノルウェー、ベント・ハーメル監督 50年代にスウェーデンで実際に行われた「独身男性の台所における行動パターン調査」をノルウェーの田舎を舞台にしたコメディタッチのハートフルな映画。 左側通行のスウェーデンから…

青春ソングのリクエスト番組

ラジオから森田公一とトップギャランの「青春時代」といずみたくシンガーズの「帰らざる日のために」が聴こえてきた。特に好きな歌というわけでもないのに、なぜか懐かしくて青春時代を思い出した。 私の青春ソングの一つは「いい日旅立ち」だ。「♪・・せめ…