自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

女優という生き方

女優という生き方

今とは違って女性の仕事に制約があった時代、女優という仕事を選んだ3人の女性がいた。

東京物語」の原節子、「雨月物語」の田中絹代、「浮雲」の高峰秀子。彼女たちの生き方と老い方にはどこか時代を超えたものがあったような気がする。

映画ではいつも上品で微笑みを絶やさなかった原節子は潔く映画界を去り、映画では平凡な暮らしの中に幸せがあると信じていた田中絹代は6本の映画を監督し、そして映画では一途に思いつめる激しい気性の女だった高峰秀子はいつしかエッセイストとしての才能を開花させた。しかも三人は女優として優れた映画を残した。

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女優の高峰秀子はかつて「人は、その生きたように老いる」と言った。

強欲に生きた人は強欲に老いる、ひねくれて生きた人はひねくれて老いる、つつましく生きた人はつつましく老いる、大らかに生きた人は大らかに老いる。

高峰秀子は子供のころから身内の暮らしを支えるために芸能界で働き、満足な教育をうけなかったが、多くの監督や役者から貴重なことを学んできた。大切なのは教えてもらうことではなく学ぶことだった。

 学びながら生きた人は学びながら老いてゆくと思う。