自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

女の一生

2016年、フランス、ベルギー、ステファヌ・ブリゼ監督、原作モーパッサン

1819年、フランスのノルマンディー、男爵家の17歳の令嬢ジャンヌは修道院で教育をうけ世間のことに疎かった。一目ぼれで子爵ジュリアンと結婚する。幸せは束の間だった。ジュリアンはジャンヌの乳姉妹の女中ロザリを孕ませ、伯爵夫人とも関係をもっていた。

f:id:hnhisa24:20190416085230j:plain

やがてジャンヌの母も父も亡くなり、溺愛した息子にも裏切られ、一文無しになる。ジャンヌの苦しみの生活はどこまでも続く。それをみかねて女中のロザリが屋敷に戻って来て恩返しのためにジャンヌの世話をする。

最後まで辛いだけの物語だったが、ラストシーンでやっと一筋の光が射してきた。ロザリがパリに出かけてジャンヌの孫娘を連れて帰ってきたのだ。

愛らしい孫娘の寝顔を見てロザリとジャンヌに初めて笑顔がこぼれた。ロザリは「奥様、人生ってそれほど悪くはありませんね」。ジャンヌは心の中で「絶望に打ちひしがれても天には一片の青空、心には一筋の希望がある」

f:id:hnhisa24:20190416085356j:plain

今の時代ならもっと多様な生き方が出来たのだろうが、19世紀初頭ではあのような生き方しか道はなかったのだろう。耐えるだけの人生に意味があるのかと思ってしまうが、「女の一生」とはまず耐える事だったのかもしれない。

ただいつの時代も女性にとっての最後に残された希望は「血の繋がり」のようにも思えた。