低予算B級映画の切れ味
ソーヤは過去にストーカー被害にあい、その後遺症に悩まされていた。母とも疎遠になり友だちもいなかった。ハイランド・クリークという病院にカウンセリングを受けに行くが、強制的に入院させられてしまう。
そこは保険金目当ての悪徳治療施設だった。警察に電話するが取り上げてもらえなかった。不思議なことにその病院にストーカー男デイヴィッドが看護師として現れる。彼のソーヤへの異常な愛がさらに恐怖をよんでゆく。
理由も分からないまま精神病院に閉じ込められてしまう恐怖は誰もがもっているだろう。だれに話しても信じてもらえない怖さ、怒り、絶望、本当に私は狂っているのか、それとも周りが狂っているのか。
B級映画の雰囲気がたっぷりですこし寒気のするサイコスリラーだった。iPhoneで撮影されてしかも劇場未公開の低予算、よくあるストーリー展開の映画だった。しかしそこはソダバーグ監督の熟練の技でみせてくれる切れ味のいい作品だった。
1946年のマーク・ロブソン監督作品「恐怖の精神病院」は無理やり治療を受けさせられ正常な者が精神異常者にされてゆく恐怖の物語。私腹を肥やす病院長役がボリス・カーロフでさすがに怖い顔だ。でも病院長は患者たちに生きたまま地下の壁の中に埋め込まれてしまう。これもまた怖い。