自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

「寝かせる」という手法

村上春樹スティーヴン・キング

「職業としての小説家」のなかで村上春樹はこう書いている。

『工場なんかの製作過程で、あるいは建築現場で、「養生」という段階があります。製品や素材を「寝かせる」ということです。ただじっと置いておいて、そこに空気を通らせる、あるいは内部をしっかりと固まらせる。小説も同じです』

f:id:hnhisa24:20190706082808j:plain

スティーヴン・キングは「書くことについて」のなかで、小説の一次稿は最低でも6週間は机の引き出しの中にしまい込んでいると語っている。

二人の人気作家は同じように書き上げた小説を「寝かして」いる。

f:id:hnhisa24:20190706082834j:plain

スケールはまったく違うが、ブログの記事を書く場合もこれは当てはまるような気がする。書き終わってからしばらく「寝かす」ようにして、少しずつ書き直しているうちにだんだん初めとは違う視点をもった記事になり、文章も簡潔になり洗練されてくる。

もっとも記事の目的によっては違うだろうが、少なくとも「自己表現型」の記事の場合、二人の手法は参考になると思う。

 

また「誰のために書くのか?」について村上はこう語っている。

「自分のために書いている、というのはある意味では真実であると思います」「自己治癒的な意味合いもある」「自分が楽しむために書く、でも読者の存在を忘れることはできない」

 私たちと村上春樹はそれほど違うわけでもないような気がする。