自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

シェイプ・オブ・ウォーター

水の形とは

2017年、アメリカ、ギレルモ・デル・トロ監督

1960年代のアメリカ、政府の秘密研究所で清掃員として働くイライザは声を出すことが出来なかった。アマゾンで神と崇められる不思議な生き物が研究所に持ち込まる。それは映画の半魚人のような姿をしていた。

その不思議な生き物「彼」とイライザはいつしか心を通わせてゆく。しかし「彼」は生体解剖されることになり、イライザたちは「彼」を研究所から連れ出し家にかくまう。 

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「美しい人魚に恋する人間の男」のロマンチックな物語にくらべると「半魚人に恋する人間の女」の異様さ。そして主人公のイライザの自慰シーンから始まり、半魚人と人間の女のセックスを想像させる凄さ。

「男」と「女」の狂おしい愛の形。映画全編に漂う生々しいエロティシズム。50年代アメリカのパルプマガジンのいかがわしさ。あるいはフォークロアの世界に紛れ込んだような不思議な体験。

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マジョリティは「彼」を醜いといい、マイノリティは「彼」を美しいと言う。

名作とは言えないかもしれないが記憶にのこる映画であることは間違いない。「記憶に残る映画であること」はとても名誉なことだ。

 

それにしても水はどのような形をしているのだろう。生命は太古の海の中で誕生した。とすれば「水」は「神」の形をしているのではないか。