自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

リグレッション 2015年

悪魔崇拝者は存在するのか

アメリカ、カナダ、スペイン、アレハンドロ・アメナーバル監督

 1990年、ミネソタ州の小さな町、17歳の少女アンジェラは父親に性的虐待をうけたと訴える。刑事ブルース・ケナーがその事件を担当する。訴えられた父親ジョンにそんな記憶はなかったが「娘は嘘を言わないから」と罪を認める。

 

ケナー刑事はどこか割り切れないものを感じ、心理学者ケネスに協力要請をする。ケネスは父親ジョンに退行催眠療法を試みる。しかし退行催眠療法虚偽記憶を生み出すことがあった。つまり嘘の記憶を作るのだ。当時、科学的だと思われていた「退行催眠療法」が捜査を誤らせた。

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やがてジョンの家で悪魔崇拝の儀式が行われていた疑いが浮かんでくる。アンジェラもまた悪魔崇拝の儀式があったとほのめかす。ケナーはそれを信じるようになり、悪魔崇拝者に襲われるという悪夢に悩まされ、いつしか町の人たちが悪魔崇拝者に見えてくる。

ケナーは誰もこの町で起こっている異常なことに気づいていないと思い、真実を知っているのは自分だけだと焦る。

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1980年以降、アメリカ各地で悪魔崇拝者たちの儀式が行われたことが、多く人びとによって告発された。人々は集団パニックに陥るが、悪魔崇拝の儀式が行われたという証拠はなかった。

このような実話を基にした映画で、ホラーの形をとっているが心の奥に潜んでいる「純粋な悪」を描いたサイコスリラーだった。

その「純粋な悪」は被害者の姿をして現れ、悪魔崇拝者の存在を訴え、人々の恐怖を駆り立て、不安をまき散らしてゆく。