自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

この自由な世界で 2007年

この自由で不均衡な世界で

イギリス、ドイツ、イタリア、スペイン、ケン・ローチ監督

 ロンドン、職業紹介所で働く33歳のシングルマザー、アンジーは不当な理由で解雇されてしまう。それに屈することなく親友のローズと二人で職業紹介所を立ち上げる。

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東欧やイランやチリなどからの外国人に仕事を斡旋していたが、不法移民に仕事を紹介した方が儲かると知ったアンジーは、犯罪行為と知りながらも悪事に手を染めてゆく。アンジーは11歳の息子ジェイミーを自分の両親に預け、借金を返すために仕事に没頭してゆく。

優しかった彼女は不法移民たちからピンはねをするようになる。お金に執着し強欲になり、非情になっていく。親友のローズはそんな彼女に嫌気がさして去ってゆく。金銭トラブルは続発するがアンジーは強い口調で移民たちと対立する。やがて金銭トラブルから事件が起こる。

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アンジーは両親に今の生活を改めるようになんども言われる。母親には休日もとれない仕事などやめて、結婚をして子供を育てなさいと言われ、父親にはあんなあくどい仕事をしていたのか、恥を知れと言われる始末だった。

アンジーは「パパは同じ職場で30年働いたわ、でも私は33歳で30回も転職したのよ、もう時代が違うのよ」と反発する。もはやイギリスにはかつての経済的な繁栄はなかった。

 

どんなことがあっても仕事を諦めないアンジーは移民を勧誘するためにウクライナに行く。移民の女性は二人の子どもを国に残して、アンジーの職業紹介所に夢を託すと言う。アンジーは後ろめたい気持ちで女性から手数料を受け取る。そして夢が叶うのだろうかと思う。

 「この自由な世界で」私たちは自由を探している。