名作、傑作というより愛すべき映画
イギリス、サイモン・ラングトン監督
BBC放送の全6話のテレビドラマ 323分、イギリスで最終回は視聴率40%を記録した。そしてBBC放送のなかで最も成功した番組だと言われている。
原作は1813年に出版されたジェーン・オースティンの「 Pride and Prejudice」
5人姉妹の次女、エリザベス・ベネットが名門で大富豪のミスター・ダーシーと結婚するまでの物語。「愛」を描いた物語であるが、当時、女性にとって一番の憧れは「結婚」だった。
由緒ある屋敷や美しいイングランドの風景の映画だった。叔父叔母と馬車にのってダービシア地方にやってきたエリザベスはその景色のあまりの素晴らしさに「ビューティフル」とため息を漏らす。そしてペンバリーの広大な美しい森とダーシーの屋敷を訪ねると「こんなに美しいお屋敷は初めて・・とても気に入ったわ」
ビングリーとその姉妹、ベネット夫妻、リディア、ウィッカム、コリンズ、ジョージアナ、ド・バーグ夫人・・人物造型が個性的で変化に富んでじつに見事だった。さり気ないユーモアとストーリー展開の巧みさ、一度見始めると途中でやめることが出来ない面白さ。
優れた小説を読んだ後に、映画化された作品を観ると落胆することは多いが、この映画はそうでなかった。なによりも19世紀初めの英国にタイムスリップできる歓びがある。
このようなハッピーエンドの映画は「つくり話」だと思うかもしれない。でもその映画から感動や歓びを与えられたとすればそれは「ほんとうの話」になる。