ドイツに仕えるものは神に仕える
1942年、プラハ、若い女性マーシャは町中でゲシュタポに追われている男を逃がす。その男こそ「死刑執行人」ハイドリッヒの暗殺者で医師のスヴォボダだった。彼は逃げ場に困り、仕方なく一晩だけマーシャの家にかくまってもらう。そこには大学教授である父と母と弟が一緒に住んでいた。
ゲシュタポは暗殺者が名乗り出るまで400人の市民を次々と処刑していく。無実の市民が処刑されていくことにスヴォボダは耐えられず、自首しようとするがレジスタンスのリーダーから自首しても処刑は続くと説得される。
しかし市民の中にも暗殺者が罰を受けず、無実の市民が処刑されることに反対する者が現れる。レジスタンス組織の中のスパイはそれを煽り立てる。
処刑される大学教授の父をみかねてマーシャは、ゲシュタポ本部に犯人を密告しようとするが思いとどまる。しかしゲシュタポのグリューバー警部に疑われ、執拗な追及が続く。
1942年、ドイツ・ナチス占領下のチェコスロバキアのプラパ、「死刑執行人」とよばれたナチスの長官、ラインハルト・ハイドリッヒが愛国者に暗殺された。そのみせしめにプラハ市民を無差別に処刑したという事実に基づいて、亡命ドイツ人のベルトルト・ブレヒトのオリジナル・シナリオをフリッツ・ラング監督が1943年に映画化した。
反ナチのプロパガンダ映画として製作されたのだろうが、それを越えてスリリングで緊張感あふれたサスペンス映画に仕上がっていた。
最後に「NOT THE END」が映し出された。そこに戦争中のアメリカの高揚感がみられる。