自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

レッド・ムーン 1968年 

サスペンス西部劇

アメリカ ロバート・マリガン監督

 1880年代の西部、10年間も先住民に囚われていた白人女性サラは凶暴な戦士サルバヘとの間に生まれた息子を連れて逃げてきた。

騎兵隊のベテラン案内人のサムは彼が育てた混血青年ニックに後を託し、引退してニューメキシコの牧場で余生を送る予定だった。ところが成り行きで、サムはサラと息子を駅まで送り届ける羽目になる。

やがてサムはサラと息子を駅に置き去りにする事ができず、二人を牧場に連れてきて一緒に暮らし始める。

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しかし凶暴なサルバヘは息子を奪い返すために、次から次へと殺戮を続けながら迫ってきた。彼の通った後には多くの死体が散乱していた。

最後まで姿を見せないサルバヘのことをサラは「あの男は音もなく忍び寄る」と恐怖で語る。敵はたった一人だが、しかしそれは見えない悪魔だった。とうてい勝ち目はなかった。もうこれはサスペンス映画と言ったほうがいい。

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「レッド・ムーン」はすこし異色の西部劇だが、それでも最近の西部劇に比べると60年代のウェスタンの香りがして、正統派といってもいいのではないか。何と言っても3人が家族のように暮らし始めるのがいい。

 

開拓時代の男たちは馬や幌馬車で砂塵の中、荒野をゆく。やがて新天地にとどまり、家を建て、牛や作物を育て、干ばつや貧困を乗り越えてゆく。男が一日の仕事に疲れて帰ってくると家には灯りがともり、煙突からは煙がのぼっている。そして男は妻や子どもたちと温かい食事をとる。そうやって開拓地に家族が誕生した。

西部劇は「家族の物語」でもある。