自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ルート・アイリシュ、2010年

戦争の民営化

イギリス、フランス、ベルギー、イタリア、スペイン、ケン・ローチ監督

ファーガスは親友のフランキーに、イラクで民間兵になれば多額の報酬が約束されると勧誘して、二人は戦争請負会社の民間兵になった。民間兵は軍人よりも凶暴だったが「オーダー17」という免責特権があった。それは誰を殺しても無罪放免になるというものだった。 

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2007年、リヴァプール、ファーガスは留置場に入っていて、フランキーの助けを求める留守電を聞くことが出来ずに後悔した。その後、フランキーがイラクで亡くなったからだ。

 

フランキーが死んだのはバグダッドから空港へ通じる12キロの道路「ルート・アイリシュ」で、世界で最も危険な道と呼ばれていた。なぜかフランキーはその道路をなんども往復させられていた。「マズイ時にマズイ場所に行く」ようにさせたのは誰なのか。

 

フランキーの死に疑問をもったファーガスはフランキーの妻レイチェルと共に真相を探り始める。殺されたイラクの少年が残した携帯電話の動画に真相が隠されていた。凶悪な民間兵のネルソンたちが携帯電話を奪おうとイラク人ミュージシャンのハリムを襲う。

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短気なファーガスはネルソンがフランキーを殺したと思い込み、拷問して殺す。ところがファーガスは騙されていた。

 ファーガスはお金のために民間兵になった男で、善人というわけではないが、「ある光景が焼き付いている。瓦礫の中から救い出された少女の左足が腱でぶら下がっている、ズタズタだった。毎晩、思い出して眠れない」と民間兵になったことを後悔していた。

 

戦場では兵士は別人のように凶暴になり、いちばんの犠牲者はイラクの民間人だった。ケン・ローチ監督が戦争ビジネスをサスペンスタッチで告発した映画。