ユーモアたっぷりの音楽ドキュメンタリー 83分
ドイツ、フィンランド、アルゼンチン、ビビアン・ブルーメンシェイン監督
タンゴの映画はたくさんある。「タンゴレッスン」「ラスト・タンゴ」「スールその先は・・愛」「タンゴ ガルデルの亡命」「愛されるために、ここにいる」
そして「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」でのアル・パチーノのタンゴ。
アキ・カウリスマキ作品にもタンゴがよく使われている。そのカウリスマキ監督が映画の冒頭に登場してこう言う。
「俺は怒っているんじゃない、いや、ちょっと怒っていると言ってもいい。アルゼンチン人はタンゴの起源を完全に忘れている。タンゴはスキーやサウナと同じようにフィンランドで生まれたものなんだ」
ウルグアイの船乗りがアルゼンチンに伝えたというのだ。
それを聞いたアルゼンチンの3人のミュージシャンは「そんなわけないだろう。タンゴはブエノスアイレスの心だ」と真相を知るためにフィンランドを訪ねる。
やがて3人は人口550万、森と湖と無数の小さな島、ゆったりとした道路、そんなフィンランドの風景や人々やタンゴに惹きつけられてゆく。穏やかで控えめなフィンランド人、それに対して情熱的なアルゼンチン人。タンゴも国によって違いがあった。
人生とタンゴは繋がっている。同じように人と人も繋がっている。アルゼンチンのバンドネオンとフィンランドのアコーディオンのセッション。タンゴは国を越えてゆく世界文化だ。
フィンランドの国民的歌手レイヨ・タイパレとの白夜のセッションは最高だった。夜なのにまるで夕陽を浴びているようだった。
ミュージシャンっていいなあと思った。なんたって初めて会った人とセッションができるもの。
「ちょっと怒っている」カウリスマキ監督もこの映画に協力している。