二度目のチャンスとは
刑事のアンドレアスとシモンはジャンキー夫婦の部屋にヤクの捜査で踏み込む。浴室で糞尿にまみれになっていた赤ちゃんを見つけ保護する。しかし赤ちゃんの健康は良好でジャンキー夫婦は釈放される。
アンドレアス刑事と妻アナにも生まれたばかりの赤ちゃんがいたが、なぜか夜泣きがひどくて交替で寝付かせるようにしていた。ところがある日、その赤ちゃんが死んでしまう。妻は突然、狂乱状態になり、救急車を呼んだら自殺するという。
思いあまってアンドレアスはジャンキー夫婦の赤ちゃんとすり替えてしまう。
アンドレアスが赤ちゃんをすり替えて帰ってくると、アナは「完全犯罪なの」「いやクズ夫婦は子どもを殺す、それが犯罪だ」「うまくやれるわ」でもアナの精神は不安定だった。
一方、ジャンキーの夫トリスタンは赤ちゃんが死んでいるのに気づき、殺したと疑われるのを怖れて、誘拐事件をでっち上げ、遺体を森の中に埋めてしまう。妻のサネは自分の赤ちゃんではないと言い張るが夫は信じない。
サネは「私は育児ができない悪い母親かもしれないが、虐待なんかしない」そして「私の赤ちゃんは死んでいない」とアンドレアス刑事に訴える。
やがて遺体を掘り起こし司法解剖すると驚愕の真相がわかる。その時、この物語はすべてが裏返ってしまう。いたるところに伏線が貼られていたことにやっと気づく。
赤ちゃんへの愛情と虐待、この狭間で揺れる母親の心の闇を、ビア監督はサスペンスタッチで描いた。
一筋の光がさすラストシーンはベン・アフレック監督の「ゴーン・ベイビー・ゴーン」を思いださせた。