ニューヨークのいちばん美しい季節
1987年、香港、メイベル・チャン監督
演劇の勉強のために23歳のジェニファーは香港からニューヨークにやってきた。迎えに来たのは遠縁のサンパンだった。サンパンはギャンブルと喧嘩と酒に明け暮れるヤクザな33歳の男だった。
彼の世話で下町の汚いアパートに住むことになる。彼女の部屋の下がサンパンの部屋だった。ジェニファーは恋人ビンセントに会いに行くが彼は別の女性とあらわれた。失恋したジェニファーを慰めるうちにサンパンはいつしか恋心を持ち始める。
秋のニューヨーク、いちばん美しい季節、柔らかな日差し、緑あふれる街、鮮やかな色彩、その中で繰り広げられる中国人の男と女のラブストーリー。
部屋の窓からブルックリン橋が見えないとジェニファーが不満をいうと、サンパンはどこからかブルックリン橋の絵をもってくる。
思い切ってサンパンがキスをしようとするがタイミングがあわない。思いを残しながら「なにか用があれば床を鳴らせよ」といって、下の階の自分の部屋に戻り、天井を見つめながら鳴るのをいつまでも待ち続ける。恋に不器用な男だった。
ロングアイランドのビーチを歩く二人、サンパンが「夢は桟橋にレストランをもつこと」店の名前は「サンパン」、そしてお客様をこうやって出迎えると嬉しそうに話す「ようこそ、サンパンへ、お二人様ですか」
祖父がくれたジェニファーの素敵な時計、ただバンドが古くなっていた。サンパンは時計のバンドをプレゼントする。ところがジェニファーは時計をサンパンにプレゼントしていた。お互いに「賢者の贈りもの」だった。
誰が誰を愛していたのか・・ジェニファーはやっと気付く。しかしそれは別れの日だった。