自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

私の殺した男 1932年

ルビッチの感動ドラマ

アメリカ、エルンスト・ルビッチ監督

2016年フランソワ・オゾン監督「婚約者の友人」としてリメイクされた。

 第一次大戦後の1919年、パリ、フランス青年ポールは教会で神父に赦しを乞う。ポールは戦争中の西部戦線でドイツ兵を殺し、それを後悔していた。ポールはその兵士ウォルターの家族に赦しを乞うためにドイツに向かう。

最初、医師である父親ホルダアリンはフランス人のポールを拒絶するが、そこにウォルターの婚約者であるエルザが戻って来て、彼が墓に花を捧げていたフランス青年だと話す。

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両親は息子がパリに住んでいた頃の友人だったと信じ込んでしまう。ポールは「自分が殺した」と告白することが出来なかった。ウォルターの両親とエルザはいつしかポールに親近感をもつようになる。

 

戦争は終わっていたがフランス人とドイツ人はお互いに憎み合っていた。父親のホルダアリンは愛国者だったが、戦争の悲惨さもよく知っていた。相変わらずフランスとの戦争を望む老人仲間たちに「老いて闘えないくせに憎しみだけは増えている。死への旅なのに私は応援までして息子を送った」と自分の行為を悔いる。

ガス燈が灯り、馬車の走るドイツの町、フランスの男とドイツの女が一緒に歩いているだけで噂の的になる。でもエルザは気にしない。ホルダアリンはポールを「我が息子」と抱きしめる。

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バイオリンを弾くポールとピアノを演奏するエルザ・・その二人を幸せな表情で見守る老夫婦。しかし再び戦争の足音が聞こえてくる。

 

77分という短くてシンプルな映画なのに強い印象を残した。重い題材だったがどこか軽やかな風が吹いている。