ある視点から見たアメリカ現代史
1901年、イタリア、シチリア島から物語は始まる。ゴッドファーザーと呼ばれた父ビトー・コルレオーネの少年時代から、1958年、その息子で父の跡目を継いだマイケル・コルレオーネ、イタリアン・マフィアの抗争を描いた作品。
ベルナルド・ベルトルッチ監督作品「1900年」は1901年の同じ日に生まれた二人の青年の人生を通して、20世紀初頭、第一次大戦、ファシズムの時代、そしてイタリア解放までのイタリア現代史を描いた5時間を超える大作。
奇しくもどちらの映画にもロバート・デ・ニーロが出演していた。
20世紀初頭のニューヨークの雑然とした町並みと活気ある移民たちの暮らし、これはコルレオーネ・ファミリーの歴史でありながら、ある視点から見たアメリカの現代史ではないだろうか。しかもアメリカがもっとも自信に満ちた時代だった。
世界中の民族からの移民を受け入れるだけの豊かさと希望があった。しかし権力闘争は民族間で複雑に絡み合い、知恵あるものが勝利者になった。
50年代のキューバは腐敗した権力者たちの国だった。アメリカの大企業は利権を求めてキューバに進出しようとしていた。その中にマイケルもいた。
しかしマイケルはカストロの率いる反乱軍の自己犠牲の高さをみて、やがて革命が成功するだろうと思い、200万ドルの投資を思いとどまる。
そして59年の新年に革命が成功すると、アメリカの起業家や政治家はキューバから逃げ出してゆく。
マイケルにとって家族こそがいちばん守るべきものだった。でも妻ケイは子どもたちを残してマイケルの元を去ってゆく。
妻に去られたマイケルは若い頃の家族を懐かしく思い出す。もはや父のビトーが生きたような時代ではなかった。
この映画にあるのはどこか任侠道にも通じる「男の世界」だった。男たちはその大いなる幻影に酔いしれてしまう。