淡い夢をみているようだ
香港、フランス、ウォン・カーウァイ監督
ニューヨーク、高架電車の灯りがきらめいている。失恋したエリザベスはカフェ・クルーチのオーナー、ジェレミーと親しくなる。カフェでは捨てられない男と女の想いの詰まった鍵を預かっていた。
エリザベスは売れ残ったブルーベリー・パイを食べる。ある日、彼女は恋の痛手を忘れるために旅に出る。そして旅先からジェレミーに次々と手紙を出す。
ノラ・ジョーンズの魅惑的な歌声と夜のジャズが物語のバックにながれている。
ニューヨークから出発し、57日目にはメンフィスのバーで働いていた。バーの客でアル中の警官アーニーは別れた妻スー・リンに未練があった。ある夜、スー・リンの恋人がバーにやってくる。
251日目にはカジノで働いていた。そこで美しい女性ギャンブラーのレスリーと知り合う。父親が危篤だと病院から電話があったが、レスリーは病院に行こうとはしなかった。彼女は「人を信じるな」と言う。
様々な人との出会い、エリザベスはこう思う。「他人は鏡のような存在ね。自分を知るための手がかり、他人の姿に自分を映すのよ」
やがて300日目にニューヨークに戻ってくる。そしてカフェを訪ね、ジェレミーと再会する。「いつまでも同じ私でいたくなかったの」
彼女はカウンターに顔を伏せて眠ってしまう。唇にはブルーベリー・パイが付いている。ジェレミーはその唇に顔を寄せてゆく。
ノラ・ジョーンズ、レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマン、お気に入りの女性ばかりだ。鮮やかな色彩とロマンチックで柔らかな映像が私たちを包んでくれる。まるで淡い夢を見ているようだった。