自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ローズ 1979年

ロックは不滅だ

アメリカ マーク・ライデル監督

 ベトナム戦争で揺れる60年代のアメリカ、ジャニス・ジョプリンをモデルにしたロックシンガー、ローズの歌と愛に命をかけた破滅的な人生を描く。

 

ローズは疲れ切っていた。そして酒、セックス、ドラッグに溺れていた。

ローズは熱狂する若者たちに向かって叫ぶ「世の中、これだけあれば充分、セックス、ドラッグ、ロックンロール」

「ブルースを聴いたのはいつ?」「生まれた時よ、女に生まれたから、女って楽しいわよ」

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「♪男が女を愛する時、心はすべて女のもの、男はすべてを捨てるのよ・・♪」ローズが求めていた「愛」だった。「♪・・つらい時、誰がそばにいたの、私じゃなかった?私が慰めてあげたのよ・・それなのにどうして・・行かないで・・♪」

でもみんな彼女の元を去ってゆく。「なぜみんな行ってしまうの」という彼女の悲痛な叫び。

 

故郷フロリダを飛び出し、大スターになって故郷に錦を飾るローズ、大観衆の前での熱唱、興奮し、絶叫する若者たち、ローズの命が燃え尽きようとする。「みんなどこへ行くの」が最期の言葉だった。

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そしてエンディング・クレジットに流れるグラミー賞受賞の主題歌「ローズ」。

「♪・・・愛は飢えのようだと人は言う、求めても満たされることがない、私なら愛は花だと言う、そしてあなたはかけがえのない種・・ちょっと思い出して、冬の冷たい雪の下でじっとしている種を、やがて太陽の恵みを受けて、春になれば、薔薇を咲かせる・・♪」

 

騒々しくて爆弾を抱えたような映画だった。いや映画というよりベット・ミドラーのライブ映像と言った方がいいかもしれない。それほど彼女の圧倒的なパフォーマンスに身体も魂も震えた。