自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

山河遥かなり 1947年

原題は「The Search」

アメリカ フレッド・ジンネマン監督

第二次世界大戦後のアメリカ占領下のドイツ、強制連行されたナチスの収容所から救いだされた戦災孤児たちが国連救済所に連れてこられる。

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救急車の赤十字をみて逃げ出す子どもたち、収容所では救急車が毒ガス室になっていた、そして赤十字からナチスの鍵十字を思い出したのだった。

アウシュビッツ収容所の恐怖で名前を忘れ、話すことが出来なくなっていた10歳の少年カレルも逃げ出した。空腹で廃墟の町を彷徨っているところを、アメリカ兵士のスティーヴンスンに助けられる。 

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カレルは母親を捜していたが、当時の記憶が失われていた。母と別れた時の収容所のフェンスが強烈なトラウマになっていた。カレルはスティーヴンスンに「母は死んだ」と聞かされ、アメリカに移住しようとする。

 

一方、母親ハンナは占領下のドイツで息子カレルを捜し歩いていた。長い道のりを経て、ハンナは国連救済所にやってくる。しかしその時にはもうカレルは逃げ出した後で救済所にはいなかった。職員から「息子は死んだ」と知らされ落胆するが微かな希望は捨てなかった。ハンナはしばらくの間、救済所で孤児たちの世話をすることになる。

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戦争で離れ離れになった母と息子が再会するまでの物語で、そこにアメリカ兵士の善意や国連救済所の活動が描かれる。二人が再会するまでのすれ違いにハラハラして映画に引きこまれてゆく。やがて大きな感動が訪れる。

 

今の時代の難民キャンプでも同じような光景が見られるだろう。戦争の悲惨さはまず子どもたちの栄養失調の身体と破れた服にあらわれる。