是枝裕和監督作品「空気人形」
男たちの性処理のために作られたラブドール「のぞみ」はへそから空気を吹き込むようになっていた。ある日、彼女は人間の心を持ってしまった。そしてDVDショップの青年を愛するようになる。空気人形の淡いエロスを感じさせた。
この「空気人形」をグロテスクにしたのがイタリアの作家、トンマーゾ・ランドルフィの短編「ゴーゴリの妻」
ゴーゴリの妻は女ではなかった。つまり人間ではなく厚ゴムの人形で「カラカス」という名前だった。肛門にちいさなバルブがついていてゴーゴリは自作のポンプで妻を膨らませていた。膨らませるたびに形が変わっていた。
もちろん乳房も生殖器もあった。空気を抜き取るためには喉の奥にある栓を取り去るのだった。
最初、ゴーゴリは妻のカラカスを愛し、とても満足していた。しかし歳月がながれ妻を嫌悪するようになった。従順だった妻が独立心を起こし、自立しようとする野心を持ち始めたからだ。妻は言葉を話し年々、齢を取るようになった。
ゴーゴリは妻を殺そうとポンプでどんどん空気を送り込む。妻の驚いた顔、やがて妻は破裂してしまう。身体がバラバラになって散乱する。
その時、ゴーゴリは腕に何かを抱え込んでいた。それを火の中に放りこむと燃え上がってしまった。それは妻の息子で「ゴム製の赤ん坊」だった。