自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

バッド・ジーニアス 危険な天才たち

軽いノリの「犯罪映画」

2017年 タイ ナタウット・プーンピリア監督

2014年、中国で起こった米国留学への大学適性試験での集団カンニング事件、その実話から着想を得た作品。

 

天才の女子高校生リンは教師である父親との二人暮らし、彼女と同じような天才肌の男子高校生バンクは寂れたクリーニング店を営む病弱な母親と二人で暮らしていた。

リンは明るい友達で美人のグレースのカンニングを手伝ったことで、金持ちの息子パットやそのほかの学生たちからお金を集めてカンニングを指導する。やがてカンニングがビジネスになることに気づく。

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裕福な学生たちは海外留学で帰国後エリートコースを歩み、才能はあるが貧乏な学生はまずお金を稼ぐために犯罪に手を染めてゆく。

カンニング・テクニックがどんどん進化してゆく。いかにも現代的な手口が紹介され、軽いノリでストーリーは展開してゆく。

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犯罪映画のようなスリリングでサスペンスあふれた作品。オープニングからエンディングまで一気に観てしまうほど惹きつけるものがある。

リンが真実を告白するシーンで物語は終わり、最後は少し苦い味もするが、不思議と登場人物たちには犯罪者特有の暗い影があまりない。彼らと一緒にカンニング・ゲームに夢中になっている自分に気づく。

 

水上学校を題材にしたタイ映画「すれ違いのダイアリーズ」もよかったが、「バッド・ジーニアス」は都会的なセンスを感じさせる垢抜けした青春映画だった。