哀切でファンタジックなゴシックホラー
スペイン、メキシコ J・A・バヨナ監督 製作ギレルモ・デル・トロ
医師の夫カルロス、息子シモンと共に37歳のラウラは閉鎖されていた孤児院に引っ越してきた。孤児院を再建して障害をもつ子どもたちの施設にしようとしていた。そこはかつてラウラが育った孤児院で、30年前に彼女はそこを去っていた。
その孤児院でシモンが空想上の見えない友だちと遊んでいた。ある日、シモンが突然、姿を消してしまう。シモンは養子でHIVの保菌者、毎日薬を飲み、長くは生きられない運命だった。
女霊媒師はこの屋敷には5人の子どもたちの霊が潜んでいるという。30年前、ラウラが孤児院を去った後に5人の子どもたちが毒殺されていた。その悲惨な出来事の痕跡として子どもたちの霊が屋敷に残っていたのだ。
「見えないものを信じなさい、信じれば必ず見えてくる」と霊媒師はラウラに言う。やがて秘密の部屋からシモンの死体が見つかる。
日本の「だるまさんがころんだ」という子どもの遊び、同じように「1,2,3、壁を叩け」とラウラが言い、振り返ると暗闇の中から子どもが一人、また一人とあらわれてくる。その恐怖、しかしそれはやがて歓喜に変る。
子どもたちは「ラウラが帰ってきた、大人になって」と大喜び、ラウラの顔に触れる。
やがてラウラとシモンと子どもたちはネバーランドで永遠に生き続ける。不思議なことに30年前の灯台の光が周りを照らしていた。
スペイン映画独特の陰鬱な雰囲気を醸し出した哀切で美しい傑作ホラー。