いろいろな母親がいる、母親にならない人もいる
フランス マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督
パリで働く女性たちとその家族を通して母親とは何かを問いかける作品。
1908年、アンナ・ジャービスは母の命日を「母の日」とした。画家ホイスッラーの「母の肖像」が記念切手になる。後年「母の日」があまりにも商業的になりすぎてアンナは廃止しようと闘っていた。
女性大統領のアンヌは3か月になる息子の子育てを夫にまかせていたので母親失格だと悩んでいた。母親になったことで批判され政治家としても自信をなくしていた。
小児科医イザベルとジャーナリストのダフネ、大学教授のナタリーの3姉妹は認知症の母親の扱いに困っていた。
ナタリーは食事会で平気でオムツを替え、授乳する母親に「子どもを産んだ母親は偉いの?」と反発する。
舞台女優のアリアンは干渉しすぎる息子にうんざりして、タップダンスを習い始める。息子の恋人で花屋のココは思わぬ妊娠をしてしまう。中国人の娼婦はスカイプで故郷に残した子供に愛情をこめて話しかける。
来年の選挙を控えた女性大統領のアンヌは夫の「それぞれのペースですすもう」という言葉に救われ、母の日、テレビのインタビューに答える。「母親になって以前と変わりましたか」「変わりたくなくて全力で抵抗しました。母親はすごくもなく偉くもない。でも確実に前の自分とはちがいます。私を豊かにしてくれた。4年前、国民は女性を大統領に選びましたが、次は母親を選ぶでしょう」
3姉妹は認知症の母親をレストランに招待する。母親は食事を気に入るが、そこはレストランではなく介護施設だった。子どもの頃から母親に邪険にされていたイザベルは「許して、私も許すわ」とつぶやく。
シャール監督が女性として思いのたけをぶちまけたような作品で、あまりにも登場人物とエピソードが多すぎて戸惑ってしまう。出来れば二度ご覧になればこの映画の良さがきっとわかる。