自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

映画の中のエリザベス1世と2世

「ブーリン家の姉妹」ジャスティン・チャドウィック監督

イングランド国王ヘンリー8世(1491~1547)の結婚、世継ぎ問題を背景に、アン・ブーリンとその妹メアリーが辿る愛憎渦巻く数奇な運命を描く歴史劇。

ヘンリー8世と結婚したアン・ブーリンは後に処刑される。望んだ息子は生まれず、生まれたのは娘だった。しかしその娘が後のエリザベス1世となる。すさまじい貴族たちの権力抗争と女同士の愛憎が印象的だった。ナタリー・ポートマンスカーレット・ヨハンソンが美しい。

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「エリザベス」シェーカル・カブール監督

16世紀のイングランドカトリックを捨て、英国国教会を打ち立てたことで国内外に新旧の宗教抗争がくすぶっていた。アン・ブーリンの娘エリザベスはカトリックの異母姉メアリー女王にロンドン塔に幽閉されてしまう。ところがメアリーが病死して、25歳でイングランド女王、エリザベス1世(1533~1603)として即位する。

血みどろの王位継承や権謀術数の時代だったがエリザベスはそれを果敢に乗り越えてゆく。エリザベス役のケイト・ブランシェットが新鮮だった。

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「エリザベス ゴールデン・エイジ」シェーカル・カブール監督

カトリック列強国やバチカンは、アン・ブーリンの娘であるエリザベスを私生児と見做して王として認めようとはしなかった。スペイン国王フェリペ2世はイングランドを征服しようと狙っていた。スコットランド女王メアリー・スチュアートカトリックということもあって、イングランドの王位を巡って様々な思惑が渦巻いていた。

新大陸(アメリカ)や世界の海を旅してきたウォルター・ローリーの自由な生活と魂にエリザベスは惹かれていく。やがて世界最強のスペイン艦隊とのアルマダの海戦に国の命運をかける。

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英国王のスピーチ」トム・フーバー監督

1936年1月、ジョージ5世が崩御し、デイヴィッド王子が「エドワード8世」として国王に即位する。しかし、彼が結婚を望んでいた女性シンプソン夫人はアメリカ人で、離婚歴があるだけでなく2番目の夫といまだ婚姻関係にあった。エドワード8世は、シンプソン夫人との結婚を諦めきれず、即位して1年も満たぬうちに退位し、アルバート王子がジョージ6世(1895~1952)として即位する。

ジョージ6世は吃音だったがナチスドイツのとの戦争に国民の協力を求める歴史的な名演説をする。このジョージ6世の長女が現在のエリザベス2世(1926~)

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「クィーン」スティーヴン・フリアーズ監督

1997年5月、総選挙で労働党が勝利し、トニー・ブレアが首相に就任する。その年の8月31日、ダイアナ元皇太妃がパリで事故死する。エリザベス2世は、ダイアナについて「既に王室を去った人間」と見なしており、これは国事ではなく私的な出来事であるとした。

しかし国民の反発が強まってゆく中、ブレア首相はエリザベス女王にダイアナの死を悼む言葉を表明するよう求めた。英国王室も国民感情を無視できなかった。

エリザベス女王役のヘレン・ミレンの気品と威厳あふれた演技はさすがだった。