豊かな実を刈り取ったのはだれか
フランス、スイス グザヴィエ・ボーヴォワ監督
第一次世界大戦下のフランスの田園地帯、1915年から1920年までの3人の女たちの物語。
農園の未亡人オルタンスは二人の息子を、そして娘のソランジュは夫を戦争にとられていた。村に残っているのは女と老人と子供だけだった。
冬をむかえ働き手がいるために20歳の女性フランシーヌを雇う。彼女は孤児院育ちで天涯孤独、両親の顔も知らなかった。誠実で働き者のフランシーヌはオルタンス夫人に気に入られ、家族同然に暮らし始める。
戦地から一時的に帰郷してきた次男のジョルジュとフランシーヌは愛し合うようになる。愛を知り初めて幸せな日々をつかんだフランシーヌ。
しかしそれを知ったオルタンス夫人はジョルジュに嘘をついて、フランシーヌを追い出してしまう。未亡人はそれが家族を守ることだと信じていた。
フランシーヌはオルタンス夫人に「正しく公平な人だと思っていたのにあなたは怪物よ、不公平だわ」と言って農園を去ってゆく。
妊娠していたことを知ったフランシーヌは不安ながらも出産する。「息子は私が育てます。息子が私を守ってくれるわ」と言い切る。
1900年代初めのフランスの農作業や田園風景には絵画的な美しさがあった。でもそれだけの作品ではなかった。しなやかさかとしたたかさをもった女たちが戦争の傷跡を癒してゆく。
母となったフランシーヌは髪を短く切り、新しい人生を歩みだす。大地に種をまき、その豊かな実を刈り取ったのはフランシーヌだった。