自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ラスト・ムービースター 2017年

バート・レイノルズと40年前のバート・レイノルズ

アメリカ、アダム・リフキン監督

かつてはビッグスターだったヴィック・エドワーズ。しかし今は身体も不自由で世間からも忘れ去られようとしていた。

老犬を安楽死させたヴィックは憂鬱だった。ある日、国際ナッシュビル映画祭からの招待状が届く。デ・ニーロやイーストウッドジャック・ニコルソンなどが受賞した功労賞を贈呈するという。友人に勧められてナッシュビルまで出かけるが、なんともお粗末な映画祭で今までだれも贈呈式に出席しなかったという。

f:id:hnhisa24:20201128084752j:plain

ヴィックは怒って帰ろうと女運転手リルの車で飛行場に向かう。その途中、故郷の町ノックスビルを訪ねる。生家が残っており、そしてヴィックがアメフトで活躍したスタジアムやプロポーズした河岸など過去を懐かしく思う。あの日はどこにいったのだろう。

 

ヴィックは自分の過去を振り返り、選択ミスばかりだったことを後悔する。「私の出演作は結末がよめるものばかりだった」と自虐的に言う。「でも自分で選んだ道なのだから、すべての過ちに感謝している」

f:id:hnhisa24:20201128084828j:plain

別れた妻のいる老人ホームを訪ねると彼女はアルツハイマーでヴィックを覚えていなかった。二人の間にできた娘は自殺していた。ヴィックは彼女に謝罪し、プロポーズをした河岸に連れてゆく。

 

ヴィックは映画祭の会場(単なるバー)に戻る。映画を愛するファンたちの手作りの映画祭で、ヴィックは大きな拍手で迎えられた。そして感謝のスピーチをする。「この賞に恥じない人生を送ることを断言する」

 

バート・レイノルズ最後の主演作で、軽妙な味わいのあるいい映画だった。2018年、彼は82歳で死去した。