一冊の本が人と人を繋ぐ
イギリス、フランス、マイク・ニューウェル監督
1946年、第二次大戦直後のロンドン、作家のジュリエットはナチスドイツ占領下のイギリス海峡のガーンジー島で読書会が人々の心の支えになっていたことを知る。ジュリエットは「タイムズ」に読書会についての記事を書くために島を訪ねる。
占領下の中、人との繋がりや語らいや友達が欲しかったので読書会を始めたという。ところが創設者のエリザベスはいなかった。
しかし彼らは「タイムズ」に読書会の記事を載せることを拒む。その理由を話そうとはしなかった。謎を追っていくとナチス占領下の悲劇が浮かんでくる。
エリザベスは幼い娘キットを残したままナチスに連行され、その後は消息不明だった。
「たった一冊の本が私をこの島に呼び寄せた」その本とはジュリエットが古書店に売った「チャールズ・ラム随筆集」だった。その中にジュリエットの住所が書かれていた。そこから読書会の一人ドーシーとの文通が始まったのだ。
ディケンズ、オースティン、ブロンテ姉妹、メアリー・シェリー、イエーツなど英国文学への愛着、そしてガーンジー島の海岸線や風景の美しさ、その上、ミステリー、ラブロマンス、戦争の悲劇と英国文学の王道をゆくストーリー。
ロンドンに戻ったジュリエットは何日もタイプライターを打ち続け、読書会とエリザベスのことを書きあげる。完成した原稿を彼らに進呈して出版しないと約束する。
そしてジュリエットは「エリザベスの話を私にしてくれてありがとう」と読書会のメンバーに感謝の言葉をおくる。「エリザベスの話」はジュリエットの運命を大きく変えてゆく。