自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ゴッドファーザー 1972年

男の映画

アメリカ フランシス・フォード・コッポラ監督

この映画を最初に観たのはずいぶん前のことだったが、それほど印象に残る作品ではなかった。それから十何年か後に再鑑賞したとき、映画に魅入られながらラストシーンには身体が震えたことを覚えている。

そして最近、再々鑑賞してこれは単なるギャング映画ではなく、優れたヒューマンドラマだと思った。観るたびに評価が高くなっていく。

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第二次世界大戦後のアメリカ、イタリアン・マフィアの抗争を描いた作品であり、父ヴィトーのあとを引き継いでドン・コルレオーネの座につく三男マイケルの物語でもある。

 

イタリア、コルレオーネ村のシーンの叙情性、恋する二人が歩く田舎道、その後ろを親族たちがついてゆく。熾烈な殺し合いの合間に流れる美しいテーマ曲。裏社会のビジネスに生き、家族を最も大切にしながらも家族を失ってゆく男たち。

妹の息子の名付け親になるマイケル、洗礼式、カトリック教会で宣誓をしながら、その裏で敵対する男たちを殺してゆく。血に汚された名付け親だった。

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重厚な映像と波乱にとんだストーリー。「仲介役が裏切り者だ」という世界。なによりもラストシーンの圧倒的な見事さ。

光のシーンと闇のシーンがお互いを際立たせ、私たちを幻想的な世界に引き込んでゆく。

 

この映画を貫いているものは「男の美学」だと思う。そしてそれは男の精神性に深くかかわっているものだ。「男にとって大切なものは家族と潔さとプライドだ」という事を男は自然に学ぶものだ。

これは悲劇だ、だからこそ「男の映画」なのだ。