自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ビフォア・サンセット 2004年

いくら話しても話し足りない

アメリカ リチャード・リンクレイター監督

1995年の映画「恋人たちの距離(ディスタンス)」の続編。

9年前、ジェシーセリーヌはウィーンの街を会話しながら夜明けまで歩き続け、半年後の再会を約束して別れた。ところが二人は連絡先を交換していなかったので会えなかった。

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9年後、二人はパリの書店で再会する。ジェシーは作家になり、サイン会でパリを訪れていた。彼は結婚し子供がいた。セリーヌは32歳になり、環境保護団体に勤め、報道写真家の恋人がいた。

今度はパリの街を語りながらどこまでも歩き始める。あれからの人生や思い出を話すが、どこかぎこちない。男と女がお互いに駆け引きをしながらも、いくら話しても話し足りない。

徐々に二人の本音が会話のなかにあらわれる。お互いにかけがえのない存在だったことに気づく。

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もちろん散歩しながらの会話シーンも素晴らしいが、セリーヌの部屋に入り、彼女のギターの弾き語りからのシーンが最高に素敵だ。そしてセリーヌジャズ歌手ニーナ・シモンの真似をしながら気だるく体を揺らしながら歩く。徐々に部屋が暗くなってくる。

 

ニーナ・シモンの歌声が聴こえてくる。「♪やっと あなたが私を見つけてくれた それまでの私に生きる望みはなかった 心はさまよい 途方にくれていた・・・だから精一杯に今日を生きよう・・♪」

 

ほとんどが二人の会話だけの映画で、もちろんセリフは充分に考えられ、よく練りこまれたものだろう。でもどこか即興のジャズのように聴こえる。

 

なお、この9年後の物語が2012年に続編として「ビフォア・ミッドナイト」が撮られた。