自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

アルプススタンドのはしの方 2020年

♪この青すぎる空が・・・♪

日本、城定秀夫監督

夏の甲子園高校野球の一回戦に出場している母校のためにアルプススタンドに応援にきた女性演劇部員の安田と田宮、元野球部員の藤野、優等生の女学生宮下、吹奏楽部の女性部長の久住、熱血教師の厚木、彼らが「アルプススタンドのはしの方」で繰り広げる会話劇。

野球シーンは一切ないし、重要な役割のエースで4番の園田、補欠の矢野も登場しない。

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バカバカしいほどの直球映画だった。でもこれがなかなか面白い。カーブやシュート、時にはフォークボールの連投という映画の多い中、虚を突かれたような型破りの作品だと思う。

青臭い議論は若さの証であり、映画技法や演技やテーマがどうのこうのという作品でもなかった。主題歌の「青すぎる空」も溌剌としてとてもよかった。75分のなかで徐々に明らかになってくる事実に小さな驚きがある。

 

ただ残念なのは実際のロケ地は許可が下りなくて甲子園球場ではなかったということだ。

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私が初めて夏の甲子園高校野球を見たのは中学生の頃だった。薄暗い階段を上ってゆくと突然視界が開け、眩しいまでのグラウンドが現れ、歓声が聴こえてくる。その時の、感動は今でも覚えている。

 

いつも外野スタンドだったが、売り子のバイトで内野スタンドから見ると臨場感がまるで違っていた。「アルプススタンドのはしの方」でも夏の暑さと「青すぎる空」は同じだったろう。彼らと同じように私にとっても青春の日々だった。