自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ミレニアム ドラゴンタトゥーの女 完全版

リスベットとハリエット

2009年、ドイツ スウェーデン デンマーク

ニールス・アルデン・オブレヴ監督、186分

スウェーデンの大実業家、ヘンリック・ヴァンゲルは40年前に行方不明になった姪ハリエットの調査をジャーナリストのミカエルに依頼する。

ミカエルは幼いころハリエットに可愛がってもらった記憶もあり、事件そのものに興味をもつ。異様な風貌の女で天才ハッカー、リスベットを助手として失踪の謎を追ってゆく。

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リスベットはかつて父親に油をかけ、火を放ち殺そうとした。そのために精神病院に収容されていた。

刺青とピアスのヒロイン、ハッキングの巧妙さ、残虐な殺人の謎解き、スウェーデンの風土、ナチズムの爪痕、ラストのリスベットの変身など見どころがいっぱい。

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映画にとって原作のどこを省略するか、何を残すか、がとても難しい。

原作では40年前、ハリエットはオーストラリアに渡り、そこで成功し、大牧場主として二人の息子と暮らしていた。映画ではこのシーンをもう少し多くしたほうがよかったように思う。

そうすれば舞台が陰鬱なスウェーデンからオーストラリアに移り、物語が広がっただろう。言ってみればこれはハリエットの物語でもあるのだ。(フィンチャー版ではハリエットはロンドンに住んでいた)

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このスウェーデン版はフィンチャー監督の「ドラゴンタトゥーの女」と比べて遜色のない出来栄えだった。

映画ファンなら2本の映画をご覧になるのもいいと思う。私は原作「ミレニアム3部作」と2本の「ドラゴンタトゥーの女」で3度も楽しんだ。