リスベットとハリエット
ニールス・アルデン・オブレヴ監督、186分
スウェーデンの大実業家、ヘンリック・ヴァンゲルは40年前に行方不明になった姪ハリエットの調査をジャーナリストのミカエルに依頼する。
ミカエルは幼いころハリエットに可愛がってもらった記憶もあり、事件そのものに興味をもつ。異様な風貌の女で天才ハッカー、リスベットを助手として失踪の謎を追ってゆく。
リスベットはかつて父親に油をかけ、火を放ち殺そうとした。そのために精神病院に収容されていた。
刺青とピアスのヒロイン、ハッキングの巧妙さ、残虐な殺人の謎解き、スウェーデンの風土、ナチズムの爪痕、ラストのリスベットの変身など見どころがいっぱい。
映画にとって原作のどこを省略するか、何を残すか、がとても難しい。
原作では40年前、ハリエットはオーストラリアに渡り、そこで成功し、大牧場主として二人の息子と暮らしていた。映画ではこのシーンをもう少し多くしたほうがよかったように思う。
そうすれば舞台が陰鬱なスウェーデンからオーストラリアに移り、物語が広がっただろう。言ってみればこれはハリエットの物語でもあるのだ。(フィンチャー版ではハリエットはロンドンに住んでいた)
このスウェーデン版はフィンチャー監督の「ドラゴンタトゥーの女」と比べて遜色のない出来栄えだった。
映画ファンなら2本の映画をご覧になるのもいいと思う。私は原作「ミレニアム3部作」と2本の「ドラゴンタトゥーの女」で3度も楽しんだ。