ジハード(聖戦)
ドイツ ファティ・アキン監督
ドイツのハンブルク、カティヤはクルド系トルコ移民のユーリと6歳の息子ロッコと幸せに暮らしていた。ある日、爆発事件でユーリとロッコが死んでしまう。
ユーリは麻薬事件で服役していたこともあり、外国人同士の抗争事件だと思われていた。しかし犯人はネオナチのメラー夫妻だった。
証拠はそろっていたが相手側の弁護士の執拗な反対尋問で裁判の行方は分からなかった。
そんな時、嘘の証言をする極右のギリシア人が現れ、推定無罪の原則でメラー夫妻は無罪になってしまう。
絶望のカティヤは一度目の決断をする。それは復讐だった。メラー夫妻のキャンピングカーに爆弾を仕掛けることだった。
二度目の決断は一度目とは少し違っていたが、それは大きな違いだった。私には復讐というより崇高なジハード(聖戦)のように見えた。
二度目の決断によってカティヤは倫理や法で裁くことのできない場所に行ってしまう。そこは善悪を超えた場所、つまり「善悪の彼岸」だった。
そしてカティヤは自由に羽ばたき家族のもとに還ってゆく。
エンドロールに歌がながれる。
「♪私たちの向かう場所 その場所を私は知っている そこでは幸せは消えない・・♪」
移民たちとネオナチが共に暮らす時代がいつかくるのかもしれない。
熱くてとてもクールな映画だった。