まったく先の読めない怪作
アメリカ ジム・カミングス監督
テキサス州の小さな町の警察官ジム・アルノーは母の葬儀で母の好きだったブルース・スプリングスティーンの「涙のサンダーロード」の曲に合わせて踊ろうとする。
しかしラジカセが故障で音楽が流れないまま踊りだす。その奇妙なダンスに葬儀会場は気まずい雰囲気に包まれる。
ジムは別居中の妻と離婚することになり小学生の娘クリスタルの親権をめぐって裁判になるが、ここでもジムは親権も財産も奪われてしまう。ジムは失読症であり、娘もその血をひいていた。ジムは誰よりも娘を愛していた。
ジムはまじめな男だが不器用で、周りの空気を読めなくて、何をやっても空回りして周りを呆れさせていた。強盗と間違えて冷蔵庫を壊してしまうこともあった。ジムの振る舞いは笑うに笑えないものだった。
この映画を呆れかえりながらも最後まで観た。ところがラストシーンには意外なことにとても感動した。でもなぜ感動したのか自分でもよくわからない。
ジムの心の内が初めて分かったような気がしたからかもしれない。そこには母への愛があった。誰にでも勧められる映画ではないが、私は不思議な映画体験ができて幸運だった。