自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

恐竜が教えてくれたこと 2019年

夏休みに子供は成長する

オランダ、ステフェン・ワウテルロウト監督

夏の休暇で両親と兄とオランダ北部の島にやってきた11歳の少年サムは「地球最後の恐竜は自分が最後だと知っていたのかな」と考え込んでいた。サムは両親も兄も先に死んで、末っ子の自分はいつか一人になると思い、痛手を少なくするために一人になる「訓練」をしていた。

ある日、サムは島に住む12歳の少女テスと知り合いになる。テスは母親と二人暮らしで父親は噴火で死んだという。

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「貸別荘で過ごす五日間の休暇」に抽選で当たったという男女の二人組がやってくる。貸別荘はテスの母の持ち物で抽選に当たったというのはテスの計略だった。

実はやってきた男はテスの父親だった。12年前にアルゼンチンでテスの母と知り合い、テスが生まれたのだ。男は娘が生まれたことを知らなかった。テスも娘だと言い出せなかった。

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妻を亡くし小屋にたった一人で住む老人から「できる限りたくさんの思い出を集めろ、人生のほとんどは頭の中にある」とサムは諭される。

美しい海と島での休暇、そしてテスとの秘密の七日間がサムの大切な思い出になった。もう一人になる訓練は必要ではなかった。

 

子供向けの映画というわけではなく、大人の映画でもある。だって「おとなは、だれも、はじめは子供だった」からだ。