鞍馬天狗は嵐寛寿郎だった。通称「アラカン」
この本はある人に勧められてずいぶん前に読んだ。おもしろくて夢中になった。
内容はほとんど忘れているが、アラカンが「おなごは可哀そうなものじゃ」と何度も何度も語っていた事はよく覚えている。
だからなのか、アラカンは5回の結婚と4回の離婚を繰り返したが、そのたびに前妻に全財産と家を譲り渡していた。鞍馬天狗のように「弱きを助け強きを挫く」おじさんだったのかもしれない。
アラカンの従妹が森光子だと知ったのもこの本からだった。
本のなかのアラカン節の痛快さはこんな言葉にもあらわれている。
「ゲイジュツ、関係おまへんのや。そらまあ、ベストテンやら賞をとる俳優さんもいて結構、ワテらのように娯楽専一、お客を喜ばせることに徹する役者もおらな、カツドウシャシンは成り立っていきまへん」
一度だけテレビ放送で1951年の映画「鞍馬天狗 角兵衛獅子」を観たことがある。杉作少年を演じていたのが美空ひばりだった。
映画「明治天皇と日露大戦争」でのアラカンは明治天皇だった。晩年は「網走番外地」シリーズに老侠客、鬼寅、「男はつらいよ 寅次郎と殿様」では殿様役で出演していた。