いつも曇った空の下で
デンマーク、フラレ・ピーダセン監督
デンマークの農村、27歳の女性クリスは身体の不自由な叔父の介護と酪農の仕事をしていた。クリスは幼いころに両親を亡くし、14歳のとき叔父に引き取られた。
その後、叔父は倒れ、不自由な身体になりクリスが食事や服の着せ替え、酪農の仕事など面倒をみていた。
二人は毎朝、食事をとりながらテレビから流れる北朝鮮、トランプ大統領、難民対策、デモといった世界のニュースを見ている。しかしそんなニュースとは無縁の暮らしで、単調な日々の繰り返しだった。
獣医のヨハネスはクリスに獣医へのチャンスを与えようとして、コペンハーゲンの大学の講義に連れてゆく。叔父さんも彼女の世話にならないようにとリハビリなどの努力していた。
教会で知り合ったマイクは彼女をレストランや映画館へ誘い、二人は恋心を抱くようになる。ただデートにはいつも叔父さんが一緒だった。
ところがクリスは獣医になる夢もマイクとの恋も諦め、叔父と暮らしていこうと決意する。どこか彼女の頑なさを感じさせたが、それが彼女の選んだ道だった。
自分の夢を諦め、叔父のために生きようとする女性の物語がデンマークで撮られたことは意外だった。
寂しい風景と曇った空の下での二人の寄り添った生活が忘れがたい印象を残す映画だった。