自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ブータン 山の教室 2019年

新春にふさわしいお勧め映画

ブータン、パオ・チョニン・ドルジ監督

教職に魅力を感じない若い教師ウゲンはオーストラリアに渡りミュージシャンになりたいと思っていた。

ブータンで一番の僻地の村ルナナへの赴任命令が出される。ルナナへは小さな村ガサから徒歩で山や峠を越え、6日間もかかるのだ。電気や水道、トイレットペーパーすらもない56人の村だった。

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村長や村人全員がウゲンを出迎え、村長は「子どもたちに教育を与えてください」と言う。

村の貧しさに驚いたウゲンはすぐに街に帰りたいと村長に話す。

ところが翌朝、クラス委員の少女ペム・ザムがウゲンを起こしに来る。「授業は8時半からです、今は9時です」

 

仕方なくウゲンはしばらくの間、村で授業することになる。しかし生徒は9人で、黒板も教科書もなく紙は貴重品だった。ウゲンはある生徒に「君は将来何になりたいの」「先生です」「どうして」「先生は未来に触れることができるから」

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いつしかウゲンは子どもたちや村人から慕われるようになり、伝統歌や自然と共に生きる暮らしに豊かさを感じるようになる。でもそこは桃源郷ではなかった。

 

やがて冬になると村は閉ざされ、ウゲンは街にかえってゆく。村人や子供たちは春にまたウゲンが村にやってくることを願っていた。帰り道、ウゲンは峠の神にいつか戻れますようにと祈る。

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私たちは子どもの頃の懐かしい思い出や豊かな時間をいつまでも忘れることができない。もう二度と戻らないと思うと切なくなる。

この映画はハートウォーミングな物語だが、ラストシーンでとても切なくなった。