自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

悲しみは空の彼方に 1959年

もう一つの「白いカラス

アメリカ、ダグラス・サーク監督

1947年、女優志願の未亡人ローラと娘のスージーコニーアイランドでシングルマザーの黒人女性アニーと娘の8歳になるサラ・ジェーンと知り合いになる。

住むところのなかったアニーはローラのアパートでメイドとして働く。しかしローラも仕事がなく給料も払えなかった。

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ローラは写真家志望のスティーブと知り合い、付き合うようになる。やがてローラは徐々に才能が認められ、女優として成功してゆく。いつしかスティーブとは疎遠になってゆく。

 

アニーが娘サラ・ジェーンの学校を訪れると「うちには有色人種の生徒はいない」といわれる。サラ・ジェーンは父親が白人だったので見た目は白人だった。彼女は黒人であること恥じて、隠していた。それがばれて「私はなぜあなたの娘なの」と母親を恨む。

 

それでもアニーはサラ・ジェーンを深く愛していた。「自分を恥じるのは罪」とアニーは言う

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10年後の1958年、ローラは大女優になっていた。豪邸に住み、アニーとサラ・ジェーンも一緒だった。白人のボーイフレンドに黒人だと知られたサラ・ジェーンは罵られ、殴られる。彼女は家出をする。

一方、ローラの娘スージーはスティーブを愛するようになっていた。

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ラブロマンスに人種問題を巧みに絡ませた作品だが、白い肌のサラ・ジェーンが黒人である母と自分を恥じる事に胸が痛んだ。斬新な視点で人種問題を切り取った傑作。