自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

暗い日曜日 1999年

毒薬入りの茶色い小瓶

ドイツ、ハンガリーロルフ・シューベル監督

レストランで食事中、ある曲を聴きながら一人の男が突然、倒れた。物語は1930年代にさかのぼる。

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ハンガリーブダペスト、レストラン「サボー」のオーナーでユダヤ人のラズロと愛人のイロナはピアニストのアンドラーシュを雇う。

 

一人の女を愛する二人の男、そして女は二人の男を同時に愛し、奇妙な三角関係が続いた。イロナのためにアンドラーシュが作曲した「暗い日曜日」は瞬く間に世界中に広がった。

しかしそれは呪われた曲だった。その曲を聴いてブダペストでは3日間で5人が自殺し、ハンガリーでは8週間で157人が自殺した。

 

やがてナチスが台頭し、かつてイロナに愛を告白したハンスがナチスの隊長として戻ってきた。彼には妻も子供もいたが今もイロナを諦めきれなかった。偶然にもハンスとイロナは誕生日が同じだった。

ハンスは裕福なユダヤ人からお金や宝石を受け取り国外脱出させていた。1000人以上のユダヤ人を助けたとして戦後は英雄視され成功した。

 

50年後、レストランで80歳の誕生日を迎えた男が心臓マヒで死んだ。

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憂鬱な時代が生んだ名曲「暗い日曜日」をモチーフにした男と女の愛、そして人間の尊厳の物語。

主題曲が物語を包み込んでゆく。いつまでもこの曲を聴きたい気分になる。古い歴史を思わせる町並みが素晴らしく、ハンガリーの暗い時代を切り取った傑作。