バケツには切り取られた手足があふれている
日本、増村保造監督
昭和14年、24歳の従軍看護婦、西さくらは中国戦線の病院に赴任した。戦地の男たちは本能的な性に飢えていた。赴任してすぐに西は兵士にレイプされてしまう。
野戦病院を転々としてゆく西看護婦のモノローグで悲惨な体験が語られる。
阿部軍医は毎日、負傷兵たちの手足を切断してゆく。バケツの中には手足があふれかえっている。医薬品が足りないために切断するしかなかった。
阿部軍医はストレスからモルヒネ中毒になっていた。やがて西はそんな軍医を愛するようになる。
両腕を失くした折原一等兵は日本に帰国できなかった。それはそんな兵隊の姿をみれば国民の間に反戦気分が高まるのを怖れてのことだった。
折原は必死になって西看護婦にあることを頼む。彼の苦しみは両腕がないためにマスターベーションができないことだった。西看護婦はその思いをかなえてあげ、一緒に町にでかけホテルで折原に足で局部を触らせる。
翌日、折原は屋上から飛び降りて自殺した。
前線基地では慰安婦たちがコレラに感染し、同じように兵士たちも感染して次々と死んでゆく。夜明け前に敵が襲い、死体から衣服や靴などをはがしてゆく。
楽しくも、面白くない、ただ陰鬱な映画だった。しかしその陰鬱さは戦争そのものが生んだものだ。